『やわらか戦車流』ウェブアニメビジネスの舞台裏を語る
3月30日に講談社から『やわらか戦車流 Web2.0発エンタメ・ビジネス戦記』(やわらか戦車連合軍 (著)、講談社刊)が発売された。『やわらか戦車』はインターネットで誕生し、2006年にキャラクタービジネスの常識をひっくり返しつつ、日本中を席捲したウェブアニメであ
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こうした『やわらか戦車』現象はこれまでもあちこちで取り上げられたが、実際に誰がどうやってビジネスとしていったか十分取り上げられてこなかった。
それゆえに大手企業?によるブーム捏造疑惑まで巻き起こしたほどである。しかし、実際の『やわらか戦車』は、1人の無名のクリエイターとネットアニメに特化するという無謀とも思える小さなベンチャー企業ファンワークスの夢から始まっている。
『やわらか戦車流』では、そうした『やわらか戦車』に関わった人たちの思いを描きだしている。それと同時になぜ『やわらか戦車』だったのか、それを取り巻く人たちが何をやりたかったのか、そしてブームのなかで何を感じたのかが語られている。
本を読むにあたって一番期待したのは、いかにブームを起こしたかについてである。しかし、本のなかではそれに至る経緯はあるが答えはない。というよりも答えは最初からなかったのかもしれない。
おそらくそこにあったのは偶然と言う名前の小さな必然の積み重ねでないだろうか。つまり、才能あるクリエイターとそれを助けたいという人の出会いである。
本を読み終わった後に感じたのは、そういった幸せなビジネスの構図である。しかし、それと同時に今後のウェブアニメのビジネスに対する疑問も残った。
つまり、ラレコの才能とスタッフの魅力が語られれば語られるほど、今回の『やわらか戦車』のケースは特別なケースかもしれないという気持ちである。こうした幸せな仕組みは今後も起こりえ、一般化出来るものなのだろうか。
『やわらか戦車流』に書かれたビジネス戦記が特殊な成功例になるのか、一般化して行くのか、今後のウェブアニメのビジネスを考えるうえでとても重要になるに違いない。よく言われるように、続けて成功するのは非常に難しいからだ。
しかし、だからこそ『やわらか戦車流』でいかに『やわらか戦車』が成功したのかを明らかにすることは大切なのかもしれない。『やわらか戦車』のケースがそう簡単に真似出来るものでないとしても、『やわらか戦車流』を読んでいる中から第2のラレコや第2のファンワークスが生まれてくるはずだからだ。
『やわらか戦車流』の一番の持ち味は、『やわらか戦車』にかかわった人たちがいかにも楽しく、生き生きとビジネスを展開したかを描きだしていることにある。