舞台「弱虫ペダル」想いをつなぐ、出会いを大切に育む、巻島&東堂の友情物語

連載・コラム

(C) 渡辺航(週刊少年チャンピオン)/マーベラス、東宝、ディー・バイ・エル・クリエイション
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高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義
連載第147回

■ 新メンバー、新キャラクターも加わっての第7作目

原作漫画は『週刊少年チャンピオン』にて2008年より連載が開始され、単行本は2015年2月時点で累計発行部数は850万部を突破している。テレビアニメは2013年10月~2014年6月まで第1期が放送され、2014年~2015年3月まで第2期が放送された。舞台化はテレビアニメに先駆けて2012年に舞台化されている。
舞台『舞台『弱虫ペダル』IRREGULAR~2つの頂上~ 』は先頃、インターハイ3日目であった。今回は総北高校の巻島裕介と箱根学園の東堂尽八に焦点を当てた物語となる。キャストは巻島裕介に廣瀬智紀、3作目から持ち役にしている。対する東堂尽八は北村諒、4作目から演じている。

総北学園、小野田坂道役はこの7作目からは小越勇輝に。ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで越前リョーマ役を演じ、その後『東京喰種』等の話題作に出演している。今泉俊輔は太田基裕、鳴子章吉は鳥越裕貴、金城真護は郷本直也、1作目から引き続き、である。田所迅は今回初役の章平。

対する箱根学園は福富寿一は3作目からの滝川英治が続投、その他、真波山岳、2作目からの植田圭輔、寒咲通司は今回初役の安里勇哉、TOKYO流星群のメンバーでもある。黒田雪成は秋元龍太朗が5作目から持ち役にしている。2年生の時にインターハイをかけた勝負で真波に敗北したがポテンシャルは高いという役どころ。そして京都伏見の水田信行、こちらは4作目から桝井賢斗が持ち役にしている。
そして今回初登のキャラクター・糸井修作、大野瑞生が演じるが東堂のロードレースの才能を感じ、レースに誘った幼なじみである。どんなエピソードが飛び出すのだろうか。

■ 東堂と巻島のエピソード、自転車との出会い、仲間との出会い、友情が絆が熱い!

舞台『弱虫ペダル』での”お約束”、開演5分前、『恋のヒメヒメぺったんこ』が流れる。舞台セットもいつもの通り、天井には自転車が6台、マンパワーで動く坂道、そして背景、今回は末広がりの”道路”だ。全くない、と言っても過言ではないくらい、本当に何もない。これが様々な場所に変化するから不思議だ。
まず、東堂が一人登場し、「まきちゃーん」そして巻島登場、客席に向かって”ご挨拶”それからレースのシーンになる。「やるっきゃないっしょ!」と巻島のいつもの台詞だ。いつものオープニング、「自分の呼吸が聞こえる、速く、速く、誰よりも速く!」みんなで声を合わせてしゃべるモノローグ、舞台『弱虫ペダル』が始まる、という空気が満ちる瞬間だ。

前回はインターハイ3日目だったが、これまでの物語をもの凄い早さで振り返る。おおよそ10分ぐらいだ。このたたみかけるような早さは自転車競技の疾走感に通じる。それから時間がさかのぼる、という構成だ。
中学の頃、東堂は糸川という友人に誘われて自転車レースに出場することになる。「髪が乱れる」だの「ウエアーがおしゃれじゃない」だの難癖をつける。東堂らしい”我がまま”ぶりだ。しかし、糸川は東堂の才能を見抜いていた。なんだかんだ誘う下りは可笑しさと同時に糸川の東堂に対する友情や想いを感じる。

途中、糸川は怪我をして動けなくなるのだが、それを助けようとする東堂に向かって「見捨てられた奴の想いを背負って走れ!」と促す。ここで東堂はロードレースの真髄に気づく。厳しい言葉をかけるのは真の友の証。糸川の自転車に乗り換えて見事にゴールする。”天は俺に三物を与えた!”と豪語する東堂の誕生だ。

場面は変わって総北高校のシーン。入学したての巻島、自転車競技部に入るが、その独特の走りと風貌ですっかり浮いた存在に。走り方を全否定されながらも練習に打ち込む。そんな姿を顧問と3年生の寒咲が見守る。その独特の走りに巻島の才能を見いだした寒咲は巻島を抜擢、期待に見事に応えるのであった。”ピークスパイダー”巻島の誕生の瞬間だ。
清々しいまでに個性を貫く、それを見守る先輩や仲間、温かいものを感じる場面である。ところどころに挿入される歌も感動的だ。

巻島、東堂、どちらも個性的で、誤解を招きやすいところもあるが、己を信じて走る。そんな二人がレース会場で出会い、ライバルを超えた友情が芽生えるのは必然なのだろう。そんな2人を笑いと汗と熱演で魅せる。巻島演じる廣瀬智紀、東堂演じる北村諒、どちらもはまり役だ。
いつものメンバーに加えて、このエピソードだから登場する糸川、人が良さそうな風貌で優しさをにじませる役柄、大野瑞生、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンの水野カツオ役で初舞台、若手であるが好演。寒咲通司演じる安里勇哉は先輩らしい落ち着いた雰囲気でこちらも的確な役作りだ。

2人が出会い、ライバルとしてインターハイを目指す。3日間のインターハイの様子、既に上演されている部分だが、ここは怒濤のように展開、しかし、過去公演のダイジェストという訳ではない。
インターハイを通じての2人を描くので、立ち位置や演出は異なる。巻島を継ぐのは小野田坂道、東堂を継ぐのは真波山岳、2人がデッドヒート、その後ろに巻島と東堂、熱い想いと心意気を次の世代につないでいくことをビジュアル的に見せ、感動を呼ぶシーンだ。

それからインターハイが終わり、3年生は卒業である。巻島、東堂、それぞれ後輩達に改めて想いを託す。3年生のその後もちょっと描かれている。またいないメンバーのことも会話の中で語られている。
ファンなら、ここは”次回公演の……”とちょっと”期待”する部分だ。次のインターハイへの”序章”とも受け取れるところとなっている。

パズルライダーの活躍は相変わらず目を見張る。セットの坂道を動かしたり、いろんなキャラになったりで大忙し。それ以外のキャストだが、自分が演じるキャラクターが登場しない場面では自動販売機になったり、せみになったり、鴨になったり、たき火になったり……なかでも抱腹絶倒なのが女子学生に扮するところ!もう皆全力で演じており、ここは必見。また滝川・郷本・小越トリオの”せみたちの切ない場面”、面白過ぎて、独立させた舞台作品にしてもいいくらいの出来映え!?だ。演出家の洒落も効いていて、物語とは全く関係ないのだが、これも含めての舞台『弱虫ペダル』の世界観を構築しているのは流石のセンス。あくまでもオールマンパワー、もちろん映像無しで2時間半、ノンストップの1幕もの、次回に繋がるエンディング。
そしてカーテンコールの後は、これまた”お約束”の『恋のヒメヒメぺったんこ』を振付きで歌って幕。ここは観客も是非、踊って楽しみたい。シリーズ物では、もはや王者の感がある舞台『弱虫ペダル』。
しかもアニメ第3期の制作も決定している。放送時期や物語の詳細は未発表、どっちも見逃せない。
《高浩美》

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