メディア芸術祭大賞に「サマーウォーズ」 金田伊功氏に特別功労賞 | アニメ!アニメ!

メディア芸術祭大賞に「サマーウォーズ」 金田伊功氏に特別功労賞

 今年で13回目を迎えた文化庁メディア芸術祭大賞が、12月3日に実行委員会より発表された。このうちアニメーション部門大賞を、細田守監督の『サマーウォーズ』が受賞した。
 細田監督は2006年の『時をかける少女』でも、同賞を受賞している。2作続けての大賞受賞とな

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 今年で13回目を迎えた文化庁メディア芸術祭大賞が、12月3日に実行委員会より発表された。このうちアニメーション部門大賞を、細田守監督の『サマーウォーズ』が受賞した。
 細田監督は2006年の『時をかける少女』でも、同賞を受賞している。2作続けての大賞受賞となる。また、『サマーウォーズ』は10月に発表された第24回デジタルコンテンツグランプリの経済産業大臣賞を受賞しており、国内で注目される大型の賞を相次いで獲得した。

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 発表記者会見に姿を見せた細田監督は『サマーウォーズ』の受賞について、映画がオリジナルの脚本であることにふれ「(現在のアニメ業界では)オリジナル脚本になかなかチャンスない状況の中で、チャレンジした」と語った。
 また、「アニメーションは現在不況にある。本数が減って、企画が保守的になっている。作品の心意気を認めて貰えてうれしい」と、今回の受賞はアニメ制作の現場にもポジティブなものと捉えた。

 アニメーション部門では、このほか優秀賞にチェコの巨匠イジィ・バルタ監督の『屋根裏のポムネンカ』、橘正紀監督の『東京マグニチュード8.0』、スイスの2Dアニメーション『The Cable Car 』(クラウディウス ゲンティネッタ/フランク ブラウン)、そして中田 秀人監督の『電信柱エレミの恋』の4作品を選んだ。
 海外から2作品、そしてストップモーションアニメーションが2作品選ばれているのが特徴だ。さらにテレビアニメから劇場映画、短編とメディア芸術祭らしい多彩な作品群である。
 今後のさらなる飛躍を期待する奨励賞は、『アニマルダンス』(大川原 亮)である。平面的で大胆に単純化された絵が、ダイナミックに動くのが魅力だ。

 また、新たに特別功労賞が設けられ、今年7月に亡くなられたアニメーター金田伊功さんに贈られた。もともと文化庁メディア芸術祭は、現在活躍しているクリエイターを表彰する趣旨があり、死後贈賞をしない方針としていた。しかし、金田伊功さんのアニメ界に残した足跡の大きさから、敢えて新しく特別功労賞を設けその貢献を讃えることとした。
 実行委員会によれば、金田さんはアニメの動きや光にダイナミズムを生み出し、アニメーションの新たな表現を生み出した。また、多くの追随者を生み出し、日本のアニメに多大な影響を与えたことを功績とした。
 金田伊功さんは第24回デジタルコンテンツグランプリでも、審査員特別賞を受賞している。アニメや映像関係者の多くが、その逝去を悼むかたちとなった。

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 マンガ部門の大賞は、幸村誠さんの『ヴィンランド・サガ』である。11世紀初頭の北ヨーロッパを舞台にした物語がストーリーマンガの王道として高く評価された。幸村誠さんは、SFマンガ『プラネテス』でもよく知られている。『ヴァイランド・サガ』は、2005年から連載を開始している。
 記者会見で幸村さんは、外国の歴史のマンガなので外国に行かなければ話ならないと、かなり綿密な取材を行った様子を紹介した。また、今後の展開については、これまではヴァイキングの戦争シーンが中心だったが、これからは人間の内面が描かれると、今後もさらに展開する作品について語った。

media-yukimura.jpg マンガ部門の優秀賞は『イムリ』(三宅乱丈)、『海獣の子供』(五十嵐大介)、『この世界の片隅に』(こうの史代)、『へうげもの』(山田芳裕)と実力派の作品が並んだ。いずれも商業マンガとなり、同人誌、ウェブマンガの受賞は叶わなかった。これについて審査委員の細萱氏は、「応募作品以外に優れた作品が世の中にあり、その状況を考えると選べなった」と説明した。今後は、そうした優れた作品の応募を呼び込むことが課題と述べた。
 さらに実行委員会は今回の大きなトピックとして、タイのウィスット・ポンニミットさんの『ヒーシーイット アクア』が奨励賞を受賞したことを挙げた。この作品が文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で初の海外からの受賞になるからだ。

 このほかアート部門は、米国のアメリカのデイヴィッド ボーエンさんの『growth modeling device』が、エンターテインメント部門は『日々の音色』 (ナカムラ マギコ/中村 将良/川村 真司/ハル カークランド)が受賞している。
 エンターテインメント部門の優秀賞になった『NARUTO-ナルト- ナルティメットストーム』は、リミテッドアニメを極限まで研究した作品とした。そのうえでアニメーションパートとゲームパートが優れていると高く評価された。
*画像は「ヴィンランド・サガ」 (幸村誠) (c)幸村誠/講談社

文化庁メディア芸術祭 /http://www.cgarts.or.jp/festival/index.html

受賞作品一覧

[アニメーション部門]

大賞
『サマーウォーズ』 (細田守)
優秀賞
『屋根裏のポムネンカ』 (イジィ・バルタ)
『東京マグニチュード8.0』 (橘正紀)
『The Cable Car 』 (クラウディウス・ゲンティネッタ/フランク・ブラウン)
『電信柱エレミの恋』 (中田秀人(ソバットシアター))
奨励賞
『アニマルダンス』  (大川原 亮)

[マンガ部門]

大賞
『ヴィンランド・サガ』 (幸村誠)
優秀賞
『イムリ』 (三宅乱丈)
『海獣の子供』 (五十嵐大介)
『この世界の片隅に』 (こうの史代)
『へうげもの』 (山田芳裕)
奨励賞
『ヒーシーイット アクア』 (ウィスット・ポンニミット)

[アート部門]

大賞
『growth modeling device』 (デイヴィッド・ボーエン)

[エンターテインメント部門]

大賞
『日々の音色』 (ナカムラ マギコ/中村 将良/川村 真司/ハル・カークランド)

[功労賞]
宮本茂 ゲームクリエイター 

[特別功労賞]
金田伊功 アニメーター 
《animeanime》
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