3D-ays氷川竜介氏講演「漫画と映像の関係」レポート | アニメ!アニメ!

3D-ays氷川竜介氏講演「漫画と映像の関係」レポート

 2月15日、東京豊洲のユナイテッド・シネマ豊洲にて、株式会社エヌジーシー主催によるセミナーイベント「3D-ays」が開催された。

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 2月15日、東京豊洲のユナイテッド・シネマ豊洲にて、株式会社エヌジーシー主催によるセミナーイベント「3D-ays」が開催された。

mrhikawa.JPG 「3D-ays」は「作品を生み出す原動力」をキーワードに、プロダクション及びコンテンツクリエーターに作品構築の過程や、制作現場での実際の話を聞く内容で第3回を数える。
 今回は最近映像化された4つの作品を、漫画と映像関係をテーマに取り上げている。
 また、NHK-BS『BSアニメ夜話』や各種媒体でアニメ・特撮評論家として活躍する氷川竜介氏が、「漫画と映像の関係 ~相互変換が進化させた日本文化~」と題した講演を行った。

 講演では漫画と映像の関係について、以下の3点が主に語られた。

 1.漫画文化の発展と映像の影響
 2.同一作家が漫画と映像に関与した例
 3.漫画と映像にある壁を突破すること

 氷川氏は手塚治虫が日本の漫画表現に功績があるとして、1947年に発表した『新宝島』を例に挙げて、きわめて映画的な作品で後世に大きな影響を与えたと話す。
 具体的にはコマにおける切り返しのカメラワークや、表現に合わせて変化するコマのサイズである。また、当時珍しかった長編ドラマ、心理描写、モブ(群集)シーン、クライマックスの存在が挙げられる。これにより、手塚漫画が「日本漫画の文法」となり、日本の漫画の“映画化”が進んだという。
 
mrhikawa2.JPG このほか、漫画と映画のギャップとして映像情報や音響情報、時間情報を挙げ、それらを解消することで「日本式のアニメ表現」が誕生したとする。
 この中には日本式のリミテッドアニメ(止め絵、口パク、バンクシステム)があり、酷評からスタートしたが、コストを武器にオリジナル企画を生み出していった歴史をとりあげた。

 また、表現技法は情報量の大小が本質ではなく、リアリティの獲得にあると話す。これはいわゆるリアルとは違ったもので、『巨人の星』を例に挙げて劇画的な描線や目に炎といった特殊効果、演劇的な画面の暗転などの手法を紹介した。一方で出崎統の主観的なカット割り、高畑勲の客観的な演出も挙げた。

 このように漫画やアニメは抽象化すること、情報の引き算で表現してきたという。デジタル技術によるCGの多様や、世界的に増えている漫画の実写化について2D的な映像理論、「隙間」の必要性と「漫画→アニメ→映画」の関係性を改めて研究必要があると締めくくった。
(日詰明嘉)

/株式会社エヌジーシー 
 /3D-ays 漫画から映像へ 劇場作品を集めたメイキングセミナー

「漫画と映像の関係 ~相互変換が進化させた日本文化~」
講演者 アニメ特撮評論家 氷川竜介
《animeanime》
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