細田守監督による『サマーウォーズ』は、今夏の大ヒット映画だ。しかし、常夏の国シンガポールでは、その夏はこれから始まる。2010年1月の『サマーウォーズ』劇場公開が決定したシンガポールで、細田守監督によるふたつの異なったトークが行われた。 ひとつは11月20日に、アニメーション・アジアコンファレンス(Animation Asia Conference:AAC)2009で行われたアニメビジネスの関係者に向けたもの、もうひとつは11月21日のアニメ・フェスティバル・アジア(Anime Festival Asia:AFA)2009でのファン向けのトークイベントである。
AACでは「Insight into creatinng animation blockbusters」と題して、映画監督としての側面にスポットをあて、AFAは『サマーウォーズ』の映画紹介が大きく取り上げられた。 しかし、聴衆やテーマの違いはあるものの、細田守監督の語り口はほとんど変わることがない。日本のトークイベントでもしばしば見られる、穏やかにして多弁な細田節が繰り広げられる。映画のテーマである家族とのつながり、日本の田舎の大家族というドメステックなものが海外に向かって広がって行くことの喜びが語られる。