今年の5月25日に米国で劇場公開された『パプリカ』が、公開19週目にして興収が87万ドルに達し、円換算(115.5円)で1億円を突破した。これは米国の映画興行情報サイトBOX OFFICE MOJOの数字にもとづくものである。日本アニメの劇場作品で劇場興収1億円突破は2005年の『ハウルの動く城』以来2年ぶり、トータルで12作目である。 また成人向けを示すR指定のついた劇場アニメが、米国の劇場興収で1億円を超えたのは、2003年に公開された『カウボーイビバップ 天国の扉』とこの『パプリカ』の2作品だけしかない。 5月の劇場公開当初はニューヨークとロサンゼルスの2館上映だけだった『パプリカ』は、その後公開劇場をしだいに拡大していった。 最大で37スクリーン同時上映となったが、トータルの公開劇場数はこれを大きく上回る。『パプリカ』は大人向きの劇場アニメが受け入れられないとされる米国で、着実な実績を築き大きな成果を残した。 こうした成功は作品の持つ力は勿論、巧みなマーケティング戦略も見逃せない。映画の配給を担当したのは、ソニー・ピクチャーズグループの中で名作映画などを専門に扱うソニー・ピクチャーズ・クラシックスである。 『パプリカ』を名作映画として限定公開するのは当初からの方針であるが、都市部の単館ロードショーから、メディアや口コミを武器に細く長く上映することに成功している。 その市場規模の小ささから全国ロードショーになり難く、しかし、単発的な限定公開だと潜在的な消費者にアプローチ出来ない日本の劇場アニメの欠点をうまくカバーした方法である。今後は、日本の劇場アニメ公開方法の成功例として広がって行くかもしれない。 しかし、第19週目を迎えた『パプリカ』の公開規模は前週の10スクリーンから、5スクリーン減らし5スクリーンとなった。 週末興行成績も2236ドルと前週の96位から104位に後退した。さすがにロングランも5ヶ月目に入り、いよいよ公開も終盤となってきた。パプリカ公式サイト(日本) /http://www.sonypictures.jp/homevideo/paprika/
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