「SHOW BY ROCK!! MUSICAL」 ラストはノリの良さで盛り上がる!

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『SHOW BY ROCK!! MUSICAL~唱え家畜共ッ!深紅色の堕天革命黙示録ッ!!』
ラストはノリの良さで盛り上がる!

『SHOW BY ROCK!!』はバンドがテーマのキャラクタープロジェクト。キャラクターの公式デビューは2012年で翌年にスマートフォン向けのゲームアプリが登場。音楽を制するものが世界を制す、というMIDICITYに住む“ミューモン”と呼ばれるキャラクターの少年少女たちがバンドを組み、音楽活動をしているという設定だ。「音ゲー」要素と、キャラクターを育成する要素を組み合わせた新感覚のゲーム、現在21バンドが活躍中で、2015年4月~6月のTOKYO MXでのTVアニメ版放映からブレークを果たした。今回は満を持しての舞台化となる。

演じる俳優陣は元気いっぱいで、観ているこっちまで熱くなれる。演奏シーンは文句なく楽しいし、バンドにかける若者たちの青春劇に、ちょっと謎めいたキャラクターを登場させ、ストーリーに起伏をつける。クロウ役の米原幸佑はシャウトする、また会見でも語っていたが、ヤイバ役の鳥越裕貴は、この公演のために身体作りをしたそうで、キレのある動きを見せていた。
アイオーン役の輝馬は常にナルシストぶりを発揮、ロム役の滝川英治はとにかくひたすら熱く、シュウ☆ゾーに並々ならぬ対抗心を燃やす。対する『トライクロニカ』のヴォーカリストのシュウ☆ゾーの三津谷亮、登場するたびに手を振るアイドルぶりで会場はヤンヤの喝采。2幕はコンテストシーン、合図に合わせて(後方スク リーンに予め指示が出る)ケミカルライトを振って”応援”すれば、気分も高揚、ラストは大団円でハッピーエンド。アニメの楽曲の他に舞台版オリジナル新曲も用意されており、ここは要チェック。決め台詞も随所に散りばめられ、タイトルにもあるように”唱え家畜共ッ!”とシャウトするところで舞台は最高潮に達する。笑って、楽しく、ちょっとハートフルな2幕ものに仕上がった。

『GOKU』

原作は手塚治虫の『ぼくの孫悟空』、これを元に新たに創造したのが、今回の舞台『GOKU』である。
冒頭は悟空誕生までをわかりやすく説明するのだが、天空から聞こえてくるようなイメージで始まる。プロジェクション・マッピングで水中に墨を垂らしたような映像でそれが水墨画のような絵になる。そして舞台中央から悟空が登場すると雰囲気がガラリと変わり、元気いっぱい、暴れ回る悟空をテンション高く喜矢武豊(ゴールデンボンバー)が体現する。
悟空と玄奘三蔵、猪八戒や沙悟浄との出会いはスピーディにユーモラスに描かれているが、それぞれのキャラクターがクリアーでわかりやすい。このメインの4人が揃ったところで”GO WEST!”。もちろん、そう簡単に天竺に行かれるはずもなく、妖怪たちが賑やかに邪魔をするのである。
最も手強いのが妖怪親子、父は見るからに強面、しかも妖怪の長、威風堂々な牛魔王(西岡徳馬)、母は羅刹女(大沢逸美)、いかにも悪だくみしていそうな雰囲気、そして息子の紅孩児(佐々木喜英)、親譲りの邪悪な危険な香りのするイケメン、この親子が悟空たちを天竺に行かせまいと悪知恵を働かせて襲ってくる。結果は先刻承知ではあるが、それでも楽しく、ドキドキ、ハラハラ。ラスト近くの紅孩児と悟空の一騎打ちは迫力満点、感涙のシーンも用意されている。

プロジェクション・マッピングを駆使し、コミックが舞台に飛び出したような楽しさ、台詞もコミカル、時折ミュージカルのように 歌が挿入され、観やすい構成。また殺陣の効果音が歌舞伎のツケのようなニュアンスがあり、動きも歌舞伎的なアクションが随所に見られた。衣装は、中国的なものを連想しがちだが、今回の『GOKU』は無国籍な印象。玄奘三蔵は、あの見慣れた格好ではあるが、猪八戒は洒落た帽子を被っているし、沙悟浄は全体をポップにまとめた今風な出で立ちだ。原作者の手塚治虫は自身の戦争体験から命の大切さを深く知る。
今回の作品には悪人はいない。妖怪親子は一見、バラバラだったが、悟空たちと戦うことによって家族の絆を取り戻す。ファミリーで楽しめる内容の作品となっている。

『カンタレラ2016~愛と裏切りの毒薬~』

ニコニコ動画内の再生回数が220万回以上を記録する大ヒット曲『カンタレラ』『パラジクロルベンゼン』『サンドリオン』から誕生した名作舞台をOSK日本歌劇団が本格的歌劇として蘇らせる。ニコニコミュージカルとして上演されたのが2011年なので、5年ぶりの上演となる。演出・振付は前回と同じ上島雪夫が手掛ける。

まず舞台に登場するは仮面をつけた男役ダンサー、そして赤いドレスの女役ダンサー。ここは導入部分で物語の設定をわかりやすく説明するが、ダンサーの妖しい動きで様々な人間の感情が渦巻く世界が展開される、ということがわかる。バックボーンを知らなくてもすんなり入っていける導入。
父親のロドリゴ・ボリジアはアレクサンデル6世として教皇の地位に就いており、チェーザレも要職に就いていた。そういう事情もあり、チェーザレはことある毎に「ボルジア家のため」と言う。フィクションとノンフィクションを上手く混ぜつつの構成、キャラクター設定もわかりやすい。弟のホアン・ボルジアは優秀な兄に対して劣等感を抱いており、繊細で傷つきやすい。フェルナンド3世とフィレンツェの 修道司祭であるが実は悪魔の化身・サヴォナーラが心の隙を巧みに突く。ルクレツィアとボルジアはお互いに惹かれ合っているが、兄妹の関係故に感情を表に出せない。そんな人間模様を『カンタレラ』『パラジクロルベンゼン』『サンドリオン』がさらに色彩と深みを与える。
陰謀、策略、誤解、思い込み、疑心暗鬼にかられ、負の感情とエネルギーが渦巻く世界、そこに暗殺のための毒薬・カンタレラが……。光があれば闇があるのは必然。それを”歌劇”という形で提示、サブカルチャーと正統派歌劇の新しい出会いがあった。

『SHOW BY ROCK!! MUSICAL~唱え家畜共ッ!深紅色の堕天革命黙示録ッ!!』
2016年2月11日~2月16日
東京・Zeppブルーシアター六本木
http://showbyrock-musical.com

舞台『GOKU』
2016年2月16日~2月28日
東京・AiiA 2.5 Theater Tokyo
http://stage-goku.jp
※「GOKU」は「U」の上にサーカムフレックス付きが正式表記。

『カンタレラ2016~愛と裏切りの毒薬~』
2016年1月30日~2月7日
大阪公演:ナレッジシアター
2016年2月18日~21日
東京公演:銀座博品館劇場
http://www.osk-revue.com/cantarella2016/
《高浩美》

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