アニメライターの仕事術-第25回 「遅刻遅刻~」をなくす「時短」の小ワザ!

連載・コラム

※前の経緯が気になる方は【第21回】連載目次を参照して下さい。

■ 朝時間がない!「作業工程」の短縮

この連載も最終回まであと一息になってきました。ご愛読に感謝です。

私には、「コワーキング」(小さなシェアオフィス)に出かけるようになってから、困ったなと思うことがありました。

とにかく早く準備を済ませて、早く家を出たい! 
メイクや服選びの時間がもったいない!
これは女子共通の悩みだと思うのですが、外で人に会う仕事ならともかく、コワーキングに行っても「ただノートPCに向かって原稿を書く」だけなんですよね。そのために身支度に時間をかけていたら、仕事をする時間が減ってしまってもったいない。
とは言え、コワーキングに行けば知人友人に会うわけですから、まったくノーメイクというわけにもいきません。

そこで、メイクを早く済ませる工夫――「作業工程の見直し」をすることにしました。
イメージしたのは「工場のライン」です。
工場では、毎回、同じ製品を作る際には同じ部品を使い、同じ手順でできるラインを組みます。


私は仕切り付きのトレイを買ってきて、メイク道具を使用順に並べていくことにしました。ワンハンドで物が取り出せて、すべてが同じ動作の反復になる。そして道具が並んでいる順番通りに作業をするめることで「次は何するんだっけ?」という迷いの時間を減らす。
《ルーチン作業は、流れ作業化する》。これが大事でした。

他にも、ご飯を炊いたら、ご飯を同じ形のタッパー(空気穴が開けられるものが良い)に幾つか入れて冷凍しておいて、朝はご飯をチンするだけにしたのも、朝食の時間短縮になりました。

あれこれ工夫することで、出かける準備の時間が大幅短縮。
朝起きてから家を出るまでに2時間近くかかっていたのが、50分で完了するようになりました。まあ、男性や、会社勤めの女子の皆さんには及ばないかもしれませんが、自分なりにかなり効率化できたと思います。

■ エンドレスな作業時間を短縮したい!

さて、マイ仕事術のおかげで作業量が少しづつ増えてきた私ですが、作業記録表を見て、重大な課題に気付きました。

それは「ある特定のタスクに、時間をかけ過ぎ」ということでした。

「ある特定のタスク」というのは、アニメ記事を書くための参考資料作りです。
アニメの脚本を読みながらメモをワード文書に打ち込むのですが、そのメモが、話数が進むごとに膨大な量になって、いつまでたっても作業が終わらなくなってしまうのです。
まあ、物語後半のほうが、人物の動きも設定も複雑になるからしょうがないんですけれどね……。

調べ物を始めると止まらない熱中気質ゆえに、物語、セリフ、SF設定などをどこまでも詳細にワードに打ち込んでしまう。
おまけに「ボトムアップ型」の性分(【第11回】参照)で、「どの項目も大事に見えて捨てられない」状態になって、原稿に反映されないような細かな部分までメモを書いていってしまうのが悩みでした。

16ページの大特集でも、たった1ページのコラムでも、同じ密度で頑張ってしまう……。
熱中するあまり、作業量全体の見積もりと、時間配分を忘れてしまう……。
ライターとして、ギャランティに見合わない作業量になってしまったり、調べ物に懲りすぎて肝心の原稿を書く時間が少なくなってしまったりと、自分の性分にほとほと困っていました。

■ 選びきれない人は、制限を設ける

脚本読みに関しては、工夫をすることにしました。

脚本を閲覧しながらメモをしていくのではなく、1話分を読み終えたら「記憶だけで」荒くてもいいから1話分をがーっと書いてしまう。
わからなかった複雑な専門用語や重要なセリフの詳細は「●●」にしておく。
最後に「●●」部分のみ、脚本を見ながら加筆修正する。
自分で作業を間引くことができないのであれば《忘却による脳の取捨選択》を利用しようと思いました。

そして、《1タスクにかける時間を設定する》ことも大事でした。「脚本読み&メモにかけられる時間は全体で◯時間だけ!」と決めてしまうのです。13話分の脚本を読むのであれば、「1話に付き△分以内でメモを完了させる!」という自分への約束事を設定しておく。キッチンタイマーを使えば、時が経つのを忘れてしまうという大惨事がありません。

写真選びに関しても、以前は一番良い写真が選びきれず、二番手、三番手と無限に増えてしまうことが良くありました。
そこで、《選ぶときのツールを工夫をする》ことにしました。以前は画像ソフトの中で写真にマークをつけていましたが、あるとき「1時間で選ばないといけないとき」があって、サムネイルのままフォルダにドロップしていったら、いつもの作業時間の3分の1くらいに短縮できました。

選びきれない人は、全部をすくい取ろうとせずに、時間やツールに制限を設けると良いと思いました。

■ 時間短縮法、まとめ

朝の身じたくのようなルーチン作業の時短法をまとめてみました。
作業する「場所」と「工程」に鍵がありそうです。

★ひとつの作業はひとつの場所で完結させる
ひとつの作業に使う道具は同じ箱に。使用順に入れておくと、すべてが同じ動作の反復になって、選び出す時間が短縮できます。
作業はひとつの場所で完結させるようにすることも心がけました。たとえばマフラーを置く場所。出かける直前につけるものだから、タンスの中よりも、鏡があって玄関に近い場所のほうが出かける行動が早くなります。

★同じ場所で発生する「異なる作業」同士をリンクさせる
目的が異なる作業でも、同じ場所で行なうものは組み合わせることを考える。
私には「でかける朝に服を選ぶ時間がない問題」というのがあるのですが、単に「前日に済ませておこう」と決意しても面倒でつい忘れがち。そこで、洋服ダンスのある部屋で行なう「風呂上がりにすずむ」という時間に、「服選び」のタスクをつっこみました。2つのタスクを繋げることで「時短」と「習慣を付ける」の両方がかないました。

★工程を短縮する
工程そのものを減らす。見直してみると無駄な工程が見つかったり、兼用できる道具がみつかったりします。メイクであれば、下地とファンデーションを兼ねるBBクリームに代えれば、一塗りで完了です。

★機械が作業している間に、人間は別のことをする
ノートPCがセキュリティアップデートをしている間に荷物をまとめる。冷凍ご飯を電子レンジで温めている間に服を着替える。
「◯◯のついでに△△をやる」は、常に意識していると時短効果大。

★作業のときに目がいくアイテムに「次にやること」フセンを貼っておく
今している作業と、次にする作業に関連性がない場合、作業そのものを忘れてしまうことがあります。特に人間の動線が変わるところは要注意!
なので、「作業をするときに必ず見るアイテム」に「次にやる作業」をフセンに書いて貼っておいたりします。

私のメイク箱には、「次はご飯をチンしにいく」というフセンが貼ってあります(笑)。やる事を項目化していくGTDと同じで、脳が「次は何をするんだっけ?」と考えて、目の前の作業が止まることを防いでいるのでした。

次回はたぶん最終回。あと少しお付き合い下さいませ!

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■ 渡辺由美子(わたなべ・ゆみこ)
アニメを専門にするカルチャーライター。インタビュー記事、評論、エッセイなどの原稿を書いたり、誌面を構成したり。web媒体『ASCII.jp』で「誰がためにアニメは生まれる」を、隔月刊『Febri』で「妄想!ふ女子ワールド」等を連載中。単行本『ワタシの夫は理系クン』(NTT出版)など。渡辺由美子ブログはこちら。
イラスト・宮原美香
《渡辺由美子》

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