中国の投資が進む韓国のコンテンツ産業 アジア共同市場形成の未来はあるか | アニメ!アニメ!

中国の投資が進む韓国のコンテンツ産業 アジア共同市場形成の未来はあるか

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国際マルチコンテンツマーケット「Japan Content Showcase 2015」が10月20日から22日までの期間、東京・台場のホテルグランパシフィックLE DAIBAで開催された。22日には日本動画協会主催セミナー『韓国映像コンテンツ産業とアジア』が開かれた。登壇者は韓国コンテンツ振興院 海外市場調査チーム チーム長の金泳徳氏である。

■ 日本のアニメコンテンツは韓国でも強い

2014年における韓国の映像コンテンツ産業の売り上げは映画、放送(TVドラマやバラエティーなど)でそれぞれ2008年から3兆~4兆ウォンほど上昇しており、今後も発展・成長していくと見られている。アニメーションに関しては2008年から2014年の間で0.1兆ウォンの成長と、若干の水位で止まった。それでも製造業やサービス業より成長率と付加価値が高いのは明らかである。映像コンテンツの輸出額は2008年から2014年の間に、アニメーションと放送が大幅に上昇。コンテンツ業界は成長過程にある。
韓国のコンテンツ輸出入額を細かく見ていると、2013年でのアニメーションにおける日本への輸出額は2000万ドル。日本からの輸入額は650万ドルであり、輸出額がかなり大きい。これはOEM契約(製造委託契約)によって日本企業からの受託制作するアニメーションの輸出額も含まれているためだ。

2014年の統計によると、日本に輸出される韓国のコンテンツはドラマとバラエティーが多く、日本から輸入するコンテンツでは圧倒的にTVアニメが多いという結果が出た。韓国から日本へ輸出されたTVアニメは0本、反対に日本からの輸入本数は3,857本(話数換算)となっている。映画に関しては日本への輸出額は810万ドルで公開されたタイトルは63本。日本からの輸入額は312万ドルで、公開された本数は217本。韓国で見られる日本映画の本数が多いのは、韓国に於けるビデオ・オン・デマンド(VOD)の普及の現れだと金氏は見ている。
日本でヒットした韓国のコンテンツは主にTVドラマで、韓国でヒットした日本のコンテンツは宮崎駿の劇場アニメーションという結果が出ている。韓国では『千と千尋の神隠し』が200万人を、『ハウルの動く城』が300万人の動員を記録した。また韓国のTVアニメーション専門チャンネルにおいては日本のアニメが半数を占めているという。
日本や中国でヒットした韓国コンテンツにはTVドラマ『チャングムの誓い』やTVドラマ『星から来たあなた』が挙げられる。中でも『星から来たあなた』は中国のオンライン上で40億ビューを記録、中国当局がオンラインの事前審議を始めるきっかけとなった。

■ 国際共同制作における韓国と日中

国際共同製作の点で韓国は、中国との共同製作が増加している。中国の強力な規制を乗り越えるために、共同製作という形でコンテンツを送り届ける目的だ。韓国におけるアニメの国際共同製作本数は全体の3割。オランダ、イギリス、フランスとも共同製作をしいるが、これは2013年に韓国とEU(欧州連合)が結んだ自由貿易協定(FTA)が影響していると見られる。日本と共同製作したものではTVアニメ『ベイブレード』が、日韓のみならずアジア全体でヒットを記録した。韓中作品では『Mr.GO』という韓国のCG技術を使ったゴリラの映画が興行収入50億円を記録。
中国は『Mr.GO』を契機に、CGの発注先をハリウッドから韓国へ切り替えているという。『Mr.GO』ではハリウッドの4分の1のコストだったと中国側は発表している。現在、韓国のCG技術は高く、政府及び民間業者は技術輸出にも積極的に取り組んでいる。
韓国政府は外国政府との国際共同制作協力協定の締結を進めている。中国とは映画において締結しており、放送においても今後締結予定とのこと。他にもEUに対しては映画、放送ともに締結済みだ。

■ 動く中国資本

日韓中の資本投資の現状としては、やはり中国マネーの流入が活発のようだ。韓国のコンテンツクリエイターへ中国が投資をするという場面が増えており、目立ったところでいうと映画業界では中国の「Huacemedia」が韓国の「NEW」へ莫大な投資を行った。また『ナッツジョブ』というアメリカ、カナダ、韓国共同制作のCGアニメーション映画を制作した韓国の「レッドローバー」へも中国企業から莫大な投資が行われた。
現在、韓国の映像コンテンツに対する中国資本の流入は進んでおり、今後も進む見込みだと金氏は語る。また2015年末に開始予定のASEAN経済共同体(AEC)によって将来的にはアジアでの共同制作が進み、日中韓を含めたアジア共同市場ができあがっていくのではないかと語った。なにしろ日本と中国、韓国の隣接する一帯はアメリカに次いで世界第2のコンテンツ消費マーケットだ。現在もEUでは共同制作コンテンツを50%以上作らなくてはいけないという取り決めがあるため、共同市場化が進んでいる。アジアもそういった市場に変容していくことが望ましいと金氏は語る。
また、制作面では英米が『ハリー・ポッター』を共同制作したように、日中韓で世界的なコンテンツを作っていくことが望まれると金氏は語った。いずれにしても共同制作やフォーマットの共同開発など、ビジネスは活性化していくだろうと金氏は見通しを述べた。

■ 資本流入は業界の成長促進に繋がっている

最後に質疑応答が行われた。やはり気になるのは中国資本だ。会場からは「中国の投資は韓国ビジネスを活性化させているのか」という質問が寄せられた。金氏は、「中国マネーは放送プロダクション、ゲーム、アニメ、キャラクターグッズ、映画など多岐に渡って入ってきている」と述べた上で、「だが、自社放送には韓国の法律上、外国資本の参入規制があり中国資本は入れない」と答えた。
韓国政府や企業が今強く求められているのは“資本流入”だという。「ドラマなどの制作プロダクションには中国資本が入っている」と語り、「中国マネーは韓国産業の成長促進へ繋げるためのいいきっかけになると捉えている」と前向きな見解を示した。
質疑からも見えてくるように、日本にとっては韓国もさることながら中国の動きが気になるところだ。三ヶ国が手を取り合い、アジア共同市場を形成する。そのような未来はもうすぐそこまで迫っているのかもしれない。
[細川洋平]

[/アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.bizより転載]
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