アニメライターの仕事術-第15回 人生の仕事術はすべて『艦これ』から学んだ | アニメ!アニメ!

アニメライターの仕事術-第15回 人生の仕事術はすべて『艦これ』から学んだ

連載・コラム

■「見積もり表」を作って時間の量を意識してみた

この連載は、夏休みの宿題を8月31日までためてしまうような、〆切というゴールのテープが見えずに原稿やタスクが遅れてしまいがちな人に向けて書いています。

連載では、私の性分を以下のタイプとして紹介してきました。
★やる気が出るときと出ないときの差が激しく、熱中するときは何時間でも集中できるけれども、テンションが落ちると全くできない「テンション型」であること。

★時間やタスクについて、全体量から逆算して作業を割り振るようなトップダウン思考ができず、細部ばかり着目してしまいがちな「ボトムアップ思考」であること。

特に私が苦手だと気づいたのは《時間の把握》。
〆切日までが遠い上にボリュームがあるといった、コツコツやらないと終わらない夏休みの宿題……みたいな原稿の場合、〆切間際になって焦り出すことがよくありました。
また、〆切がタイトではないWeb原稿などは、ついついのんびりして遅れてしまいがちでした。

そんな私が知ったのが「見積もり」という概念でした。

「見積もり」とは、《そのタスクがトータルで何時間かかるか》という全体量を把握することです。
見積もりをすることで、「〆切まであと何時間作業しなければならないか」を毎日把握して、原稿を早く上げるための焦りを生み出そうと考えたのでした。

『見積もり表』に使ったのは、紙のフセン。
細いフセン1枚=1時間と見なして、フセンにはタスク内容を書いて、それをカレンダーの日にちに分けて貼っていきました。

1日に貼れるフセンは7、8枚まで(1日でタスクをこなすのが7~8時間だから)。集中するような原稿書きは、1日に4~5枚(4~5時間)くらいが適量だとわかりました。
フセンにすることで、時間を物理的に量として可視化できるところが良かったです。


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■時間の把握だけでは「やる気」には繋がらない

フセン見積もり表を作り始めてから2年くらい経ったある日、私と同様に仕事術に悩む友人から尋ねられました。
「あのぅ、『フセン見積もり表』ってまだ使ってます?」
私は正直に言いました。

「実は最近は作るのをやめてしまって。ノッていると予定表以上のことができるんだけど、気分がノらないとその日のノルマがこなせなくて、フセンが後ろにズレていくだけなんだよね……」。

読者の皆さんスミマセン! あのままでは夢の計画表過ぎました……。
代わりに新しい方法を考えて、現在はその方法でうまくいっているので、これからの連載をお読みいただければと思います。

あのフセン見積もり表は、ボトムアップ思考の人が、トップダウン思考的に全体量から逆算する「訓練」としてはとても有効でした。フセン貼りをしたおかげで、タスクにかかる時間を、物理的な「量」に変換して認識できるようになったのです。

それでも、量として認識するだけでは、〆切を延ばせる原稿は上がりませんでした……。
《時間の量が把握できたところで、それが「やる気」には直結しないんですよ!》

仕事は「焦り」から進みます。〆切が延びても誰からも怒られないタスクの場合、作業の所要時間という「情報」を得ただけでは、焦るモードになれないんです!(泣)

■『艦これ』が教えてくれたリソース配分とタスク運用
マイ仕事術も詰んだかと思われた時期に出会ったのが、ゲーム『艦隊これくしょん』、通称『艦これ』でした。

ゲーム『艦これ』は、「タスク運用の抽象化」が非常に上手くできていました。
艦娘は6隻で一編成。プレイヤーは「提督」と呼ばれ、4艦隊を運用します。主に第1艦隊を出撃させて敵と戦わせるわけですが、出撃するには油や弾薬といった資材が必要。資材を集めるために、第2~4艦隊を「遠征任務」に出します。

「時間」と「資材」と「疲労」が数字で示されて、限られたリソースをどう配分するかがゲームの楽しみどころでした。
資材を集めるために遠征任務に出すのですが、同じ遠征任務であれば、必要となる時間は毎回同じで、もらえる資材の量も同じ。たとえば「海上護衛任務」なら、艦隊を出して戻ってくるまでに必ず1時間30分かかり、油を200、弾薬を200持って帰ってくる。「量」の把握が苦手な人でも、ゲームを自分で運用させることで、体感に近い形で認識ができました。

そして《任務の重要度に関わらず、かかる時間は同じ》というところもポイントでした。現実の作業でも、難易度が低くても確実に時間が必要なタスク(経費精算とか)がありますよね。

重要度、難易度といったものは、実はとても感情的なものだと思っています。
人によって印象が違うものは、感情によって左右されるものだ……ということかなと。

『艦これ』は、感情に左右されやすい私に、「成果物に必要な時間の量は一定!」というシビアな“教え”をくれたのでした。

そして、『艦これ』最大の“教え”は、《タスクは自分で入れ換えて運用できる》ところにありました。
これが、「時間区切り」が苦手な私には、大きなヒントとなったのです。

……続く!


■ 渡辺由美子(わたなべ・ゆみこ)
アニメを専門にするカルチャーライター。インタビュー記事、評論、エッセイなどの原稿を書いたり、誌面を構成したり。web媒体『ASCII.jp』で「誰がためにアニメは生まれる」を、隔月刊『Febri』で「妄想!ふ女子ワールド」等を連載中。単行本『ワタシの夫は理系クン』(NTT出版)など。渡辺由美子ブログはこちら。
イラスト・宮原美香
《渡辺由美子》
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