「ドラえもん」を引き継ぎ、繋げる。映画『ドラえもん のび太の宇宙英雄記』大杉宜弘監督インタビュー 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「ドラえもん」を引き継ぎ、繋げる。映画『ドラえもん のび太の宇宙英雄記』大杉宜弘監督インタビュー

映画『ドラえもん のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)』が3月7日に全国公開する。35周年記念作品を初監督となる大杉宜弘が監督を務めた。本作がどのように成り立ったのか、お話を伺った。

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■ コミカルなアクションをするために頭身を下げて普通の線を採用

―AA
本作で一番驚いたのはドラえもんたちのキャラクターの立ち具合。ドラえもんをはじめみんなが強烈な粒として描かれていてとても楽しかったです。

―大杉
尋常じゃないですね(笑)。最初のオファーの段階で「全員を活躍させてもらいたい」との話が出ていたんです。それで全員に見せ場を作っていくわけですが、意識しないとバランスが崩れるので非常に難しかったですね。

―AA
物語中盤でのび太たちが“遊び”から“本気”へ意識が切り替わっていくシーンが出て来ます。その描き方が細やかですし、非常に印象的です。それは「大杉監督作品」の個性を狙っているのでしょうか。

―大杉
それはにじみ出たものですね。むしろ自分の立場では「藤子・F・不二雄作品に、『ドラえもん』にしなくちゃいけない」という思いで必死でした。それでも完成した作品を見た人には「今回は変わってるね」と言われることが多くて(笑)。
やってる間は必死なので気づかないんです。個性があるのなら、それは狙って出すものではないと思っているんです。若いアニメーターには「ルールに則って物事を描いていけば、自分の個性は自然と出るんだよ」って言ってます。そういうことですよね。

―AA
個性は勝手気ままに描くことではなく、基礎・ルールに則っているからこそ出てくるものだと。

―大杉
ええ。なにしろ本作には「ドラえもん」という偉大で揺るぎのない基礎がありますからね(笑)。

fd

―AA
本作で監督がこだわったのはどういった部分でしょうか。

―大杉
バトルを残虐に描かない、ということです。ヒーローアクションもので勧善懲悪。そうなるとバトルがたくさん出て来てしまうんです。それを残虐にしないためにキャラクターの頭身をあえて縮めてコミカルにしました。
アニメーターはキャラクターの造形でアクションが変わるんです。前作『新・のび太の大魔境』(2014年)までは情感を出すために頭身が高めだったんですね。そうなると描き手側もリアルに描こうとしちゃう。それを今回は思いっきりコミカル寄りに振りました。

―AA
デザインから調整をしていったと。

―大杉
線も通常の線を使用しています。今までは鉛筆の感じや情感を出したりしていました。今回はシリアス話ではないしコミカルにアクションをするには通常の線の方が合っていると踏んだんです。

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―AA
最後にメッセージをお願いします。

―大杉
まずは何も考えず見てもらって、見終わった後に笑顔で「今日はよかったなあ」と思ってもらえたらいいですね。映画はやっぱり特別な時間だと思うのでそれを味わってもらいたいです。細かいところまで意味を込めて作っていますが、シーン細部の意味はみなさんそれぞれ家でゆっくり考えてもらえればと思います。種明かしは5年10年経ったあたりでしたいですね(笑)。

映画『ドラえもん のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)』
2015年3月7日(土) 全国ロードショー
http://doraeiga.com/2015/

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《細川洋平》
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