放送開始後、初の富野総監督スペシャルインタビュー「ガンダム Gのレコンギスタ」を語る(上)  | アニメ!アニメ!

放送開始後、初の富野総監督スペシャルインタビュー「ガンダム Gのレコンギスタ」を語る(上) 

インタビュー

―15年の勉強の成果があるから「脱ガンダム」できたと。

富野由悠季総監督(以下富野) 
『G-レコ』は企画開始からカウントするとかなり経っているのですが、最初の3年に考えたものは全部捨てたんです。それは「脱ガンダム」ができていなかったからです。だいたい、「ガンダム」で世界終末戦争みたいなものはやってもしょうがないでしょう。子供が見ないから。しかも、そういうものを「ガンダム」でやろうとすると簡単にできてしまいます。いまさら似たようなロボットアニメを作ったりしたら、今風の言葉でいうなら、そこにはイノベーションがない。それで宇宙エレベーターというものを世界観に取り入れることを思い付いたらようやく「脱ガンダム」の方向が見えてきたのです。

―最初に宇宙エレベーターが登場すると聞いた時は、なぜそれが「脱ガンダム」につながるかしかとはわからなかったんですが、画面を見て納得しました。左右の動きが中心のロボットアニメにあって、画面を縦によぎっていくオブジェクトがあるのはかなりインパクトがありますね。

富野 
いわば「ロケット列車」なんですよ。

―発車の時の鐘なんかは完全に列車ですよね。

富野 
ちょっとない絵になっているでしょう?ああいう新しい画像感覚が手に入れられたから次にいけるんです。

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―宇宙エレベーターから『Gレコ』の世界観確立へはどう進んでいったんでしょうか。

富野 
普通にロボットものを作ったら終末戦争になってしまいます。そこから遠ざかるには、感覚を1000年とか2000年とか飛ばしてしまいます。そして、1000年とか2000年とか感覚を飛ばした時の問題は、技術論とファッション論、この二つです。
たとえばファッション論。1000年後になれば、いろんな人種の人たちがいろいろ混交しているだろうから、むしろ社会の中にはいろんなファッションがあるはずです。SFでよく制服みたいな画一的な服を着ている未来像がでてくるけれど、あんなことあるわけがないと考えました。
技術論については、根底にはエネルギー論があるわけだから、現実的にめんどうくさい議論を一切キャンセルするためにフォトン・バッテリーというエネルギー源を設定したことです。こうやって世界観を組み上げていって、ようやく10歳ぐらいの子供たちに「元気にしましょうよね」ということを伝えられるような枠組みが出来上がったんです。ここまで考えると、お話を「アニメって本来バカバカしいものだよね」というレベルにまで落とすことができる、と予定したのです。

―あくまでファッション論や技術論は背景なんですね。

富野 
「種」ですね、表面的にはアニメらしいバカバカしいお話なんですけど、やっぱり意識のどこかに何か残るでしょう。
たとえば宇宙エレベーターを見た時「こんなビジュアルがありえるのか」「本当にありえるとしたらどういう形なのか」。やがてそういうことを考える子供もいるでしょう。キャピタル・テリトリィの中核にあるスコード教にしろ、クンタラという言葉にしろ、ひっかかってくれればいい。それはきっと、あとでものを考える時のための「種」になるはずです。とはいえ、それは『G-レコ』の本題ではありません。本題ではないから、見た目以上に触るつもりもありません。そういう要素はお楽しみとは別に仕込んでいるつもりです。

―『G-レコ』を子供に見てほしいというのはそういう側面もあるのですね。

富野 
そうです。「元気であることは大事なことだ」という人生訓をちゃんと持てるということはすごく大事なことです。そういう健やかな子供が育てば、今の大人たちのような愚かなところに脚をとられず、なにか健やかな解決方法を思い付く未来がやってくるかもしれない。大きいところでは世界の状況、小さいところでは「ガンダム」ビジネスを展開している人々、そういうものを見ても、僕含め愚民に出来るのは、もうたかがしれているんです。そういう愚民は突然賢くなったしません。人間とはそういうものです。
ニュータイプ論はありえない、というのが「ガンダム」を35年やってきた結論です。だから凡俗に出来るのは、よりよき未来に向けて種をまくことぐらいしかできないと覚悟を決めた、という事でもあるのです。

後編に続く 

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