出会いと葛藤に終の別れが訪れる:マフィア梶田―「PERSONA3 THE MOVIE #2 Midsummer Knight’s Dream」 | アニメ!アニメ!

出会いと葛藤に終の別れが訪れる:マフィア梶田―「PERSONA3 THE MOVIE #2 Midsummer Knight’s Dream」

レビュー

■ マフィア梶田

『ペルソナ3』を語るうえで決して外せないのが、「アイギス」というキャラクターの存在だ。桐条グループによって生み出された、少女の姿をした「対シャドウ特別制圧兵装」。兵器として作られた彼女が主人公に執着する理由や、人の心を学んでいく過程は本作の物語における重要なファクターとなっている。
PlayStation(R)2用RPG『ペルソナ3』がリリースされた当初、筆者はまだライターを志して専門学校に通う学生だった。ある日、ゲーム雑誌をペラペラとめくっていてたまたま目にした特集記事が、本作とのファーストコンタクトであったと思う。『ペルソナ』シリーズとしては7年ぶりの新作という点でも興味を引かれたが、なによりキャラクター紹介のページに掲載されていたアイギスの特異なビジュアルに強烈な衝撃を受けた。
当時から美少女キャラクターに関してはそれなりにニッチな嗜好を持っており、俗に言う“ロボ娘”も好物だったのだが、アイギスほどに美少女とメカのバランスが美しく噛み合ったキャラクターに出会うのは生まれて初めての経験だったのである。
 ビスクドールの顔立ちに、マネキンのように無機質ながらもどこかエロチックな雰囲気を漂わせるボディ。そして、人外の存在であることを主張するかのように、美しさと異形感が露わになった股関節部分……。彼女に抱いた初恋のような胸の高鳴りは、まさしくマリンカリンを食らったかの如く。ゲームをプレイするよりも先に、あれほど魅了されたキャラクターは後にも先にもアイギスだけだろう。間違いなく、筆者にとって“一目惚れ”の初体験だった。

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……あまりにも「アイギス語り」に夢中になりすぎて、うっかり忘れそうになっていたが、本稿は2014年6月7日に公開された劇場版『ペルソナ3』の第2章、『PERSONA3 THE MOVIE #2 Midsummer Knight’s Dream』(以下、『Midsummer Knight’s Dream』)のレビュー記事である。昨年11月に公開された『Spring of Birth』の続編で、劇中の季節は「春」から「夏」へ。特別課外活動部の面々が屋久島でのバカンスや、夏祭り を楽しむなど印象的なイベントが多く、前述した(※しすぎた)アイギスをはじめとして「天田 乾」「コロマル」「荒垣 真次郎」 といった新たなメンバーが加入してストーリーも大きく動き出す時期だ。
『Midsummer Knight’s Dream』では序盤こそ学生らしい青春の1ページがアニメ独自の演出によって魅力的に描かれているが、仲間たちとの楽しい時間も束の間……影時間を利用して復讐代行を行っている謎の集団「ストレガ」の登場や、天田と荒垣の因縁によって物語は急転直下。避けることのできない悲劇へと向かっていく。あまりここで詳細に語るわけにもいかない部分なので歯痒いのだが、今回のラストシーン……次章への“ヒキ”は、良し悪しを別としても確実に視聴者の心にズッシリと重い余韻を残すものになっている。

また、主人公「結城 理」の心境に変化が現れる点にも注目だ。『Spring of Birth』に比べれば仲間たちとも打ち解け、態度もだいぶ柔らかくなっているのだが、今回はとある理由から彼の中に「影時間を消すことに対する葛藤」が生まれてしまう。これは主人公=プレイヤーであるゲーム本編では明確に描かれなかった部分だが、筆者も『ペルソナ3』をプレイしている当時、『Midsummer Knight’s Dream』の結城と同じような気持ちを抱いていたのでスクリーンの中でそれを見透かされたようでギクッとした。
『ペルソナ3』をクリア済みで、これから『Midsummer Knight’s Dream』を観に行くという人の中には恐らく劇場で筆者と同じような気持ちを味わう人もいるだろう。

最後に、個人的な見所の紹介をば。もう言わなくてもお分かりだろうが……そう、アイギスである。単純に『ペルソナ3』でも特に重要な役割を担うキャラクターがいよいよ登場するという点で注目度は高いのだが、日常の細かな挙動から戦闘シーンのダイナミックなアクションまでスタッフと演者の“こだわり”が感じられる部分が多々あるので是非ともアイギスキーには目を皿のようにして観て欲しいところだ。

劇場版『PERSONA3 THE MOVIE #2 Midsummer Knight’s Dream』

劇場版「ペルソナ3」公式サイト
/http://www.P3M.jp/

abesan■ マフィア梶田

二次元をこよなく愛するフリーライター。主にゲーム・アニメ系の記事や脚本を執筆しているほか、ラジオパーソナリティやイベントMCとしても活躍中。
『ペルソナ』好きが高じた結果、どういう運命の悪戯なのかアトラスの公式番組である『ペルソナストーカー倶楽部』を任されてしまった。MCと構成作家のペルソナを忙しく付け替えながら戦っているが、ワイルドの能力を持っているわけではないのでだいぶ身体にガタがきている。ペルソナ抑制剤がほしい今日このごろ。
《animeanime》
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