新海誠監督の最新作『言の葉の庭』が、米国で初上映された。7月4日から米国ロサンゼルスで開催中のアニメエキスポ(Anime Expo)2013で本作の米国プレミアが開催、さらに新海誠監督がロサンゼルスを訪れて現地のファンと交流を深めた。『言の葉の庭』は4月28日にオーストラリア・ゴールドコーストでワールドプレミアで初上映、国内では5月31日に全国公開、台湾、香港でも同日公開した。それが早くも米国に到着した。本作は、米国のアニメ会社センタイ・フィルムワークスからBD/DVD決定が発表されたばかり。そこで、センタイが主催するかたちで、米国最大のアニメコンベンションでプレミアイベントを実施することになった。まず、7月7日にトークパネル、その前日6日にプレミア上映を行った。この上映会は会場に入りきれないほどの満員と、米国でも高い新海作品人気をみせつけた。新海誠監督の熱狂的なファンは、日本だけでなく、世界に広がっている。それは米国でも同様だ。一方で、新海作品を好きなファンは、国境を越えてどこか共通する真面目さを感じさせる。7日に開催されたトークパネルでは、そんな印象を強く与えた。新海誠監督が登壇したトークパネルは、最終日の午前中というイベントとしては集客がやや難しい時間帯であった。にもかかわらず会場には多くのファンが訪れて、監督の話に熱心に聴き入った。パネルは、まず新海監督から質問からスタート。自身の作品を来場者がどのくらい知っているかだが、会場のほとんどがすでにいずれかの作品を観たことがあるようだった。とりわけ『秒速5センチメートル』の人気が高かった。『秒速5センチメートル』については、誰かを元気づけようと思ったのだが、日本では作品が悲しすぎて映画を観てショックを受ける人もいると打ち明けるシーンもあった。しかし、米国のファンは、『秒速5センチメートル』にそうした印象はあまり持たないようだった。質問コーナーでは、映画の長さがなぜ46分と短いのか?作品は自身との経験と重ね合わせているのか?など様々な話題に及んだ。こうしたなかで監督が自身の初恋や、ここだけの話とする個人的なエピソードも飛び出した。アニメエキスポのパネルは、質問コーナーが多く取ることが多いが、それが時としてトークの内容がベタに陥りがちな傾向もある。しかし、今回のパネルでは非常に中身の濃い質問と、監督の丁寧な語り口もあり、非常に充実したものになった。[数土直志]
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