アニメ監督・細田守×建築家・隈研吾シンポジウムレポート 表現における日本と世界とは? | アニメ!アニメ!

アニメ監督・細田守×建築家・隈研吾シンポジウムレポート 表現における日本と世界とは?

イベント・レポート

シンポジウム「日本の表現は世界に通用するか?」
  • シンポジウム「日本の表現は世界に通用するか?」
  • 細田守監督と隈研吾さん
  • 隈研吾さんの作品は、それぞれ地域の文化に根差している
  • 河口洋一郎さんから匠賞を受け取る。
  • シンポジウム「日本の表現は世界に通用するか?」
  • 細田守監督
「アニメ」と「建築」は、一見はかなり異なったジャンルに思える。しかし、実際は共通点も少なくない。例えば、作品の完成のためには創造性が極めて重要であり、一方で世の中に受け入れられるための一般性やビジネス的な採算が要求される。また、日本のクリエイター、作品が、世界で高く評価されている分野であることも共通だ。
そう考えると10月25日に、東京・日本科学未来館で開催されたシンポジウム「日本の表現は世界に通用するか?」のアニメ監督の細田守さんと建築家・隈研吾さんのトークも意外というよりも、むしろ納得出来るものだ。
今回のシンポジウムは、ASIAGRAPH 2012において隈研吾さんが匠賞を細田守監督が創賞を受賞したことを記念して企画された。そのテーマ「日本の表現は世界に通用するか?」は、まさにこうした状況に相応しいものだ。

そのテーマに掲げられた世界とのつながりについても、ふたりの考えには共通点がある。表現において、まず日本から考え、スタートし、それが世界につながったことである。
隈さんは1980年代のバブル経済崩壊後、東京で建築の仕事がなくなったことを現在の仕事の原点とする。東京で仕事がないので地方で仕事をし、その時に各地の職人さんと話すなかで日本にこんなに面白いものがあったと発見した。これを世界で喜んでくれる人がいないかと考えたら、世界から様々な仕事が来るようになったという。

一方、細田監督は、かねてより『時をかける少女』を作っている時は、世界を考えることはなかったと語っている。それは隈研吾さんの経験ともつながりそうだ。
今回、さらに興味深かったのは、細田監督が海外の映画祭などに行くと、むしろ日本についてよく考えると話したことだ。それは海外作品に影響されるというよりも、こうした人たちに日本の作品がどうしたら勝負出来るのか考えるのだという。

アニメとのつながりでは、隈さんは細田監督による映像を観て、自らの関心であるレイヤーという問題と重ね合わせる。「アニメは重ねていく構造が面白い。切りとられた画面のなかに素敵なものがある」と、とりわけ平面的な映像に関心を見せた。
さらに「アニメの良さはやわらかさとやさしさ、そこにはフランク・ロイド・ライトやゴッホに通ずるものがある」と話した。言葉数自体は多くないが、短い映像の中から日本アニメの本質を見事に抜き出し表現した。

海外渡航のため隈さんが途中で退席したほか、話題も随所に飛びがちなもので、シンポジウム全体の構成はそれほど明確なものはなかった。しかし、むしろ、そうしたざっくばらんな会話の中から、根底に流れる共通性が感じられるのが面白かった。
そして、細田監督が最後の挨拶で伝えたメッセージ「新しいことを応援して欲しい。見守って欲しい」との言葉が印象的だった。それは細田守監督が、今後もアニメ監督として、果敢に挑戦していく意思表明にも聞こえたからだ。
[数土直志]

ASIAGRAPH 2012 匠賞・創賞 授賞記念シンポジウム
「日本の表現は世界に通用するか?」
10月25日 日本科学未来館 みらいCANホール

[パネリスト]
隈研吾 (建築家) 
細田守 (アニメーション監督)
[司会]
河口洋一郎 (東京大学 大学院 情報学環 教授)
《animeanime》
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