7月2日から米国ロサンゼルスで、北米最大のアニメイベント アニメエキスポが開催されている。そのメインスポンサーにもなっているファニメーション(FUNimation Entertainment)は、北米最大の日本アニメの流通会社である。 7月4日には、会場内に設けられた大型会場でファニメーションの新作発表を中心とした「FUNimation Panel」が開催された。業界最大企業による発表会という事で会場には多くのファンが集まり最新情報に聴き入った。 FUNimation Panelではそうしたファンの期待に応えるべく、大型作品のリリース情報が相次いで発表された。 初めに言及されたのは、『ドラゴンボール』である。同社は今年9月にノーカット完全版のDVD BOXを発売する。『ドラゴンボール』の米国での人気はよく知られているが、実際には人気の中心は『ドラゴンボールZ』となっている。今回のDVD BOXは、シリーズ第1作目にあらためて光があたる。 さらに『ONE PIECE』や『鋼の錬金術師』、『ケロロ軍曹』、『おおきく振りかぶって』、『GUNSLINGER GIRL』第2期などの作品が次々に取上げられる。その作品の内容、日本の権利者は多岐に及び、同社のアニメビジネスが様々なジャンルに及んでいることが分かる。 そして、今回のライセンス獲得発表の目玉は、『戦国BASARA』であった。ファニメーションによれば、ライセンス獲得の交渉は終わったばかりという同社の最新作である。会場にはプロダクション I.G USAの担当者も顔をみせ発表を盛り上げた。コスプレ向きの派手なキャラクターもあり、ファニメーションが今後大型タイトルとして売りだしていく意気込みが感じられた。 日本では『破』の劇場公開が注目されている『ヱヴァンゲリヲン新劇場版: 序』も大きく取上げられたタイトルだ。今後、1.0の夏の劇場公開に続き、1.01はDVDで今年秋発売、1.02は来年春にDVDとBlu‐Ray Discで発売されることが明らかにされた。 日本で成功したマーケティングが踏襲される。しかし、『破』については、ライセンス未獲得としており、今後交渉を行う。 大手企業の撤退や縮小が続く中で、ファニメーションの業界内での相対的な存在感は急激に高まっている。今回のラインアップからも、そうした勢いは十分感じられた。 しかし、同社自身は、今回そうした状況はあまり強く打ち出していない。これまでファニメーションの企業パネルは、業界のシェアなどを見せ自社の経営の力強さを紹介することが多かった。しかし、今回は作品だけに絞り、業界の状況については全く触れなかった。 むしろ『ONE PIECE』ではVIZメディアによるマンガ出版との連動、『ドラゴンボール』ではバンダイナムコゲームスによるゲームソフト発売との連動など、他社との連携を強調する。独占や寡占のイメージを抑えているように感じられた。 こうしたマンガやゲームとの連動は、ファニメーションの今後のビジネスの方向性でもあるようだ。大型タイトルでは、マンガ、ゲームなどと連動させマルチメディア展開出来る作品をより強く推している。 さらに、ファニメーションはインターネット関連に力を入れている。ストリーミング配信ではHulu、Gaia online、Joost、YouTube、Anime News Networkに配信する。また、ダウンロード販売は、Amazon、Direct2Drive、iTunes Store、Play Station Network、Xboxで行っている。 インターネットTVは自局のFUNimation チャンネルのほかComcast経由でも提供する。さらにBlogやTwitters、大型SNSサイトの新設など、新世代のメディアを積極的に活用する。 業界の内での相対的な地位が高まっているとはいえ、北米のアニメDVDのマーケットは依然縮小傾向である。同社がコスト削減に動いているのは、今回のアニメエキスポでも様々な部分から伺われる。 そうした厳しい状況を乗り越えるためにも、インターネットを通じた新たな作品流通の試みには、引き続き力を入れて行くことになる。ファニメーション(FUNimation Entertainment)/http://www.funimation.com/アニメエキスポ(Anime Expo)2009 公式サイト/http://www.anime-expo.org/jp/当サイトの関連記事/北米アニメ不況の中で開催されたアニメエキスポ2009
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