コミコン・インターナショナルは、4月7日に2011年のアイズナー賞(Will Eisner Comic Industry Awards)28部門のノミネート作品を発表した。アイズナー賞はコミックスを対象とする賞のなかでも米国で最も知られ存在である。ノミネートされた作品から、今後、業界関係者の投票により受賞作品を決定する。 発表は全米最大のポップカルチャーイベントであるサンディエゴ・コミコンで開催される授賞式にて行う。サンディエゴ・コミコンの最も重要なイベントのひとつだ。
今年のノミネートの中にも、日本からの作品が選ばれた。なかでも注目は主要部門のひとつベストコンテニューシリーズ賞(Best Continuing Series:現在刊行中のベスト作品)候補に選ばれた『20世紀少年』の浦沢直樹さんである。『20世紀少年』は国際賞アジア部門(Best U.S. Edition of International Material—Asia)でも候補になったほか、浦沢直樹さん自身がベストアーティスト賞(Best Writer/Artist)でノミネートされるなど、トータル3部門で名前が挙がる高い評価を見せつけた。 一方で、浦沢直樹さんのベストコンテニューシリーズ賞のノミネート入りは、2007年の『MONSTER』から始まり5年連続である。これ以外にも幾つもの候補になっているにも関わらず、これまでに受賞がないだけに注目したいところだ。
また、他の作品を原作とするベスト翻案賞(Best Adaptation from Another Work)には、多田乃伸明さんの『70億の針』が候補になった。本作は米国のSF作家ハル・クレメントの『20億の針』をベースにマンガ化したものだ。国内ではメディアファクトリーより発売されている。米国ではヴァーティカル(Vertical)により翻訳出版されている。 さらに2009年までは国際賞(日本部門)とされていた、国際賞(アジア部門)は候補5作が全て日本のマンガだった。『奇子』(手塚治虫:現地出版社ヴァーティカル)、『うさぎドロップ』(宇仁田ゆみ:エンプレス(Yen Press))、『「酔夢」ほか』(萩尾望都:ファンタグラフィックス(Fantagraphics))、『さらいや五葉』(オノナツメ:VIZメディア)、『20世紀少年』(浦沢直樹:VIZメディア)である。