国内のマンガ文化の発展を目指して朝日新聞が主催する第15回手塚治虫文化賞が、マンガ大賞の候補作品を2月26日に明らかにした。2010年に刊行されたマンガ単行本の中から専門家や書店から作品を募り、8名の社外選考委員が投票、上位8作品を候補作として選出した。 『逢魔が橋』(近藤ようこ)、『シグルイ』(原作:南條範夫・作画山口貴由)、『JIN-仁-』(村上もとか)、『竹光侍』(松本大洋、永福一成)、『中春こまわり君』(山上たつひこ)、『天体戦士サンレッド』(くぼたまこと)、『鋼の錬金術師』(荒川弘)、『ファンタジウム』(杉本亜未)である。マンガの多様性を体現するような幅広い作品が選ばれた。 候補作品にうち『シグルイ』、『鋼の錬金術師』、『天体戦士サンレッド』はアニメ化もされており、アニメファンからもよく知られている。『シグルイ』は戦いの残酷さを大胆に描き注目を浴びた。2010年に7年及ぶ作品を完結させた。 『鋼の錬金術師』も、2010年におよそ9年間にわたる連載を完結させた作品である。その間、2度にわたるテレビアニメシリーズ化、劇場アニメ化で、国内だけでなく海外でも一大ムーブメントを引き起こした。2011年には映画『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』の公開も予定される。 候補作品の特徴のひとつは時代物だ。江戸時代を舞台にした『シグルイ』のほか、『JIN-仁-』、『逢魔が橋』、『竹光侍』が時代物だ。『竹光侍』は『鉄コン筋クリート』などで注目を浴びた松本大洋さんが初めて描く時代劇である。 『中春こまわり君』と『天体戦士サンレッド』は、日常の中に非日常を取り入れて人生の悲哀を描くギャグマンガである。現代社会を反映した作品といえる。 手塚治虫文化賞は、日本マンガ史の巨人 手塚治虫さんの業績を記念し、朝日新聞社が1997年に設立した。年間を通じて最も優れた作品であるマンガ大賞のほか、斬新な表現・画期的なテーマを持つ作品を顕彰する新生賞、さらに短編賞、マンガ文化の発展・貢献を対象にする特別賞が設けられている。 マンガ大賞は今後選考委員による最終選考会を開催、合議のうえ受賞作品を決定する。発表は4月中旬、5月27日に東京・築地の朝日新聞東京本社にて贈呈式を開催する。手塚治虫文化賞 マンガ大賞部門/http://www.asahi.com/shimbun/award/tezuka/候補8作品『逢魔が橋』 近藤ようこ (青林工藝舎)『シグルイ』 原作:南條範夫・作画山口貴由 (秋田書店)『JIN-仁-』 村上もとか (集英社)『竹光侍』 松本大洋、永福一成 (小学館)『中春こまわり君』 山上たつひこ (小学館)『天体戦士サンレッド』 くぼたまこと (スクウェア・エニックス)『鋼の錬金術師』 荒川弘 (スクウェア・エニックス)『ファンタジウム』 杉本亜未 (講談社)選考委員(社外選考委員)印口 崇 (マンガ評論家) 呉 智英 (評論家) 竹宮惠子 (マンガ家・京都精華大学マンガ学部長) 中条省平 (学習院大学教授) 永井 豪 (マンガ家) 藤本由香里 (評論家・明治大学准教授) 三浦しをん (作家) 村上 知彦 (評論家・編集者・神戸松蔭女子学院大学教授) 朝日新聞社編集担当 朝日新聞東京本社文化エディター
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