2月2日、六本木・東京ミッドタウンにて、文化庁メディア芸術祭の受賞者贈呈式が行われた。贈呈式には、アートやゲーム、テクノロジー、アニメーション、マンガなど幅広い範囲から受賞者や審査員といった関係者が集まった。 この多彩な分野のアーティスト、クリエイターに、文部科学省や文化庁など行政関係者も加わる。メディア芸術祭の目指すクロスオーバーは、芸術表現だけでなく、人の交流にも及んでいるかのようだ。また、海外作品の受賞が増えていることから、海外からの出席が目立った。それはは過去13年間で、メディア芸術祭が、これまでにないグローバルな存在へと広がった表れでもある。 登壇する受賞者たちの姿も様々で、ラフなジーンズ姿や正装まで、それぞれの考え方や自己表現のあり方を伺わせて興味深いものだった。なかでもユニークだったのがマンガ部門大賞を受賞した『ヴィンラド・サガ』の幸村誠さん。中世のヨーロッパ風のヘルメットにマント姿は、まさに『ヴィンラド・サガ』の中で描かれたヴァイキングの装いである。 幸村誠さんは「今回は非常に厳粛な式と聞いて、正装をしてきました」と、茶目っ気を見せる。そして、作品の完成にあたっては、ふたりのアシスタント、編集者、出版元である講談社、家族のおかげと話す。「そして何よりもファンのおかげです」と作品に関わった全ての人に感謝を述べた。 アニメーション部門でも、大賞の細田守監督が挨拶を行った。「『サマーウォーズ』は、インターネットで起きた出来事に、日本の田舎の大家族が立ち向かう親戚の物語」と作品のコンセプトを説明する。そして、「奥さんや家族から多くのインスピレーションをいただいた。優秀なスタッフたちのおかけで完成した」と周囲に助けられてことに触れた。 一際高い拍手を浴びたのは、功労省の宮本茂さんと特別功労賞の故金田伊功さんの代理として受賞式に出席した牧子夫人である。ゲームとアニメとジャンルは異なるが、両人とも、西洋からの強い影響で生まれたカルチャー領域で、日本独自のスタイルを築いた人物である。 もし、クールジャパンが本当に存在するのなら、それは宮本茂さんや金田伊功さんのようなクリエイターたちによって生み出されと言っていいだろう。大きな拍手は、日本のメディア芸術の原点はそこにあるという会場の一致した思いである。文化庁メディア芸術祭 /http://plaza.bunka.go.jp/festival/
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