映画製作者連盟08年映画統計発表 アニメーション映画も邦高洋低 | アニメ!アニメ!

映画製作者連盟08年映画統計発表 アニメーション映画も邦高洋低

 1月30日、日本の大手映画配給会社4社によって運営される日本映画製作者連盟は、2008年の全国映画概況と統計表、興収10億円以上の作品の興収を発表した。入場者数は前年比1.7%減の1億6049万人、興行収入は1.8%減の1948億3600万円である。
 国内最大のヒット作は、宮

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 1月30日、日本の大手映画配給会社4社によって運営される日本映画製作者連盟は、2008年の全国映画概況と統計表、興収10億円以上の作品の興収を発表した。入場者数は前年比1.7%減の1億6049万人、興行収入は1.8%減の1948億3600万円である。
 国内最大のヒット作は、宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』である。前作の『ハウルの動く城』(196億円)、『千と千尋の神隠し』(304億円)には及ばなかったが、アニメ映画だけでなく、邦画、映画全体でも1位で、宮崎ブランドの強さを見せつけた。

 また、邦画と洋画の比率が、ここ数年話題になることが多いが、2008年は邦画が洋画を再逆転した。邦画の構成比は全体の59.5%、およそ6割、洋画の1.5倍である。
 邦画が前年比で22.4%増と急伸し、1158億5900万円となる一方で、洋画は23.9%減の789億円7700万円にとどまったことが理由である。『崖の上のポニョ』の興収もこうした結果に大きな影響を与えたとみられる。

 こうした中で、アニメーション映画でも、強い邦画、弱い洋画の図式が見て取れる。米国のアニメーション映画で10億円以上の興収をあげたのは、2008年は興収20億円の『カンフー・パンダ』のみにとどまっている。このためアニメーション映画に限ると邦画と洋画の比率は93:7と巨大な差となる。
 10億円以上の作品は、2007年、2006年は3本、2005年、2004年は4本だから、洋画の観客吸引力の低下傾向はアニメーション映画で特に顕著と言えるだろう。この結果、興行側も海外アニメーション作品上映に慎重になっている。米国で大ヒットした作品でも、日本では上映されない、上映しても公開規模が小さくなる作品が増えている。そうした動きが海外劇場アニメーションの市場を、さらに狭めている。

 しかし、国内アニメも『崖の上のポニョ』以外は興収10億円以上の作品が、全てテレビアニメ発の長期シリーズという寂しい結果である。アニメ映画の興収は284.8億円で、邦画全体のおよそ33%を占める(興収10億円以上)。
 ところがポニョ除けば129.8億円と一昨年の175.5億円より大幅な減少である。この落ちた分は、一昨年にあった『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』と『劇場版 どうぶつの森』の分と考えると判りやすいだろう。2008年のアニメ映画のテレビアニメ依存、シリーズ依存が見て取れる。

 国内アニメ映画がテレビアニメ依存だとすれば、邦画はマンガ原作依存である。2008年に興収10億円以上の邦画は28本あったが、このうちマンガ原作は12本、さらに興収に占める割合はおよそ4割にも達している。マンガなしで、現在の邦画ビジネスは語れない。
 一方で、洋画においては、アメリカン・コミックスの吸引力は日本では極めて弱い。2008年に興収10億円を越えたアメリカン・コミックス原作の映画は、『ダークナイト』の16億円のみである。日本以外では記録的な大ヒットになった『アイアンマン』、『インクレディブル・ハルク』は、10億円の興収を越えられなかった。日本の映画ファンにとって、海外アニメーション、アメリカン・コミックス原作が遠くなりつつあることを感じさせる結果である。
 
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日本映画製作者連盟 /http://www.eiren.org/

【2008年 興行10億円以上の作品抜粋(アニメ)】
 『崖の上のポニョ』 155億円 
 『劇場版ポケットモンスター 
  ダイヤモンド・パールギラティナと氷空<そら>の花束シェイミ』 48億円
 『映画ドラえもん のび太と緑の巨人伝』 33.7億円
 『名探偵コナン 戦慄の楽譜<フルスコア>』 24.2億円
 『映画クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ金矛の勇者』 12.3億円
 『劇場版NARUTO -ナルト- 疾風伝 絆』 11.6億円
   6本 284.8億円 (全体の33%強)

【年 興行10億円以上の作品抜粋(マンガ・アニメ原作)】
 『花より男子 ファナル』 77.5億円 (東宝)
 『容疑者Xの献身』 49.2億円 (東宝)
 『20世紀少年 第1章』 39.5億円(東宝)
 『映画ドラえもん のび太と緑の巨人伝』 33.7億円
 (『L change the WorLd』 31億円)*
 『名探偵コナン 戦慄の楽譜<フルスコア>』 24.2億円
 『デトロイト・メタル・シティ』 23.4億円
 『映画 クロサギ』 17.2億円
 『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』 14.5億円
 『映画クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ金矛の勇者』 12.3億円
 『劇場版NARUTO -ナルト- 疾風伝 絆』 11.6億円
  *『L』は、マンガ原作映画のスピンオフ
   12本 334億円 (全体の39%)
《animeanime》
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