1月30日に日本映画製作者連盟は、2006年の国内映画興行の概況を発表した。発表によれば2006年の映画入場数は1億6427万人、前年比で2.4%の増加である。また、興行収入は2025億円で前年比2.2%増加といずれも微増となった。邦画トップはジブリ アニメは全体の3割 邦画の興行収入トップは、スタジオジブリ制作の長編アニメ『ゲド戦記』の76億5000万円であった。これは同じジブリ映画の前作『ハウルの動く城』の196億円には遥かに及ばないが、それでもジブリ映画のブランド力の強さをみせつけている。 アニメ映画の興行面での強さは、ジブリ作品だけでない。大ヒット映画が続出したとされる2006年の邦画界においてさえ、邦画の上位10作品のうち4作品までがアニメである。しかも、『ゲド戦記』を除く3作品『ポケットモンスター』『ドラえもん』『名探偵コナン』全てがシリーズ10年を越えるシリーズものとなっている。 また、10億円以上の邦画興行のなかに占めるアニメは、合計7本全体のおよそ30%近く(226億円)に達している。これは昨年の7本310億円より少ない。しかし、昨年はメガヒットの『ハウルの動く城』があったことを考えればむしろ健闘していると言っていいだろう。 さらに興収10億円を越えたアニメの全てが児童、学童向けの作品であることは、日本の劇場アニメの特殊性でもある。2006年は海外アニメーション不振 一方、洋画では1位の『ハリーポッターと炎のゴブレット』(110億円)、2位の『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』(100.2億円)は100億円を越えたが全体に不振であった。 10億円以上の洋画・邦画の興収合計は1524億8000万円だったが、51.4%が邦画からの収入で21年ぶりに邦画の興収が洋画の興収を上回っている。 邦画優勢は、特にアニメーション映画についても顕著な傾向でもある。日本アニメの興収合計が226億円だったのに対して、海外アニメーションの興収は1位の『チキン・リトル』26.8億円、2位『カーズ』22.3億円、3位『森のリトルギャング』11億円の3本のみ合計60億円に過ぎない。 昨年の5作品から作品数が減っただけでなく、興収は118億円からほぼ半減したことになる。邦画は『ゲド戦記』という特別な存在を抜いても150億円、その差は倍以上となる。 これはこれまで人気を博してきたハリウッドの大作3DCGの集客力が急激に落ちている可能性が高い。例えば、米国では高い人気を誇るピクサー制作の『カーズ』は海外アニメーションの興収第2位であるが、これまでのピクサー作品より遥かに低い興収にとどまっている。これまでのピクサーの映画興収はみてみると下記のようになる。2002年『モンスターズインク』 93.7億円2004年『ファインデイングニモ』 110.0億円2005年『Mr.インクレディブル』 52.6億円2006年『カーズ』 22.3億円同様のことはドリームワークスの3DCG映画『森のリトルギャング』にも言える。2002年『シュレック』 22.7億円2004年『シュレック2』 25.0億円2005年『シャークテイル』 18.8億円2005年『マダガスカル』 22.5億円2006年『森のリトルギャング』 11.0億円 2007年は、ジブリ映画の公開もなく、現在のところ『ブレイブストーリー』や『あらしのよるに』といった定番アニメ以外の大型アニメ作品の公開は見えていない。 しかし、日本のアニメ関連企業にとっては、海外アニメーションの力が落ちている現在は、日本の劇場アニメの市場をさらに拡大するチャンスとも言えそうだ。2006年 アニメーション映画の興収(10億円以上)ゲド戦記 76.5億円ポケットモンスター 34.0億円ドラえもん 32.8億円名探偵コナン 30.3億円チキン・リトル 26.8億円カーズ 22.3億円ブレイブストーリー 20.0億円あらしのよるに 18.8億円クレヨンしんちゃん 13.8億円森のリトルギャング 11.0億円(社)日本映画製作者連盟の資料により作成/(社)日本映画製作者連盟
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