東アジアにおけるアニメ作品の制作というと、アニメ生産の大国日本、制作技術では既に日米と並ぶ実力を持つとされる韓国、国家的にアニメーション産業の振興に力を入れる中国などが話題になることが多い。もうひとつの東アジアの経済大国である台湾は、3Dアニメーションを利用したコマーシャル映像やゲーム映像以外で多くを語られることがない。 しかし、日米のアニメーションが最も受入れられる国である台湾に、劇場アニメやTVアニメの産業は存在しないのだろうか。そんな見落とされがちな台湾のアニメ産業の現状を台湾の情報サイト光華がレポートしている。「オリジナルアニメに挑戦する「宏広」と「ファイヤーボール」の物語」と題されたレポートは、世界の有数の規模を誇る台湾のアニメ制作会社宏広がオリジナル劇場作品を制作する苦労とその成功を描いている。 宏広は設立30年近いが、これまでは欧米作品の下請けが多く知名度が低かった。そこで、『孫悟空』をもとにしたアニメーション映画『ファイヤーボール』を制作したところ、この夏に大ヒットし、アジア各国や欧米にも輸出するなど好調なビジネスとなっているという。 もっとも新聞社からの助成金1500万元、経済部工業局からの借り入れ金5000万元を含めた製作費1億5000万元(5億円弱)は、8月の興行成績1000万元には遠い。アジア各国に版権や放映権を売却したあとでも投資額の回収は60%にとどまっている。 やはり、ここには台湾のような国内市場が小さな国にとっては、コンテンツ産業での競争が極めて不利だという現実があるように感じる。例えば、映画制作を行う時には、国内市場だけを念頭におけば制作予算は小さくなるし、制作予算を増やせば必然的に海外市場を視野に入れなければいけない。 80年代に一世風靡した台湾映画が90年代以降、後発の韓国、中国に押され気味なのにはそうした背景もあるだろう。 宏広が、長年アニメ制作の下請を中心であったのもそうした理由がありそうである。同社は、1978年に設立されテレビ作品3,300話以上、62本の映画を制作した。その規模は世界有数だが、オリジナルの作品は劇場作品『ファイヤーボール』が初めてである。 同社の提携企業には、ウォルト・ディズニーを初め、ワーナブラザース、カートゥーンネットワーク、ニッケルオデオン、ソニーピクチャーズなどが並んでいる。しかし、逆にそうした企業に評価されるほどの技術があれば、最初から海外市場を目指すことで大きな発展をする可能性も少なくない。 台湾のパソコンや液晶製造企業が海外企業の受託から始まり、その後、世界ブランドとして飛躍したように、アニメーション作品の制作で世界に羽ばたく日が来る可能性もある。その時には、『ファイヤーボール』が小さな一歩だったということになるかもしれない。光華の記事(日本語) /オリジナルアニメに挑戦する「宏広」と「ファイヤーボール」の物語/宏広 /『ファイヤーボール』の紹介
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