6月10日からいよいよ宮崎駿監督の『ハウルの動く城』の劇場公開が始まった。10日からの公開劇場数は36館に過ぎないが、米国の主要なメディアが一斉に『ハウルの動く城』の批評を発表している。近年、米国メディアに最も大きく注目された日本アニメは昨年公開の押井守監督の『イノセンス』であるが、批評の数はそれを上回っている。 こうした批評は概ね好意的で、平均以上、良質のファンタジーとして高い評価をくださしているものが多い。また絶賛に近い批評も幾つか存在している。こうした絶賛派は4星評価をつけたシカゴトリビューン紙(Chicago Tribune)などで、作品の芸術性への評価と伴にハリポッターシリーズよりウィットに飛び多くの点で勝っているとしている。ニューヨークタイムズ紙も星評価はないが好意的な批評であった。また、Wired Newsは、芸術と技術の共生として高く評価しており、国内のアニメーションとは異なる独自の作品でハリウッドのアニメーションの99%以上はハウルに比べることが出来ないとしている。 批評の中で多く見られた特徴は、アカデミー賞受賞をした宮崎監督を中心に巨匠の新作という取り上げ方である。多くの批評は前作の『千と千尋の神隠し』だけでなく、『となりのトトロ』といった米国ではマイナーな作品との比較も取り上げており、米国の映画メディアにおける宮崎駿監督作品の浸透度を感じさせる。 また、しばしば米国で日本アニメが指摘される大人にも鑑賞に堪えうるという点は、『ハウル』でも複数指摘されている。例えばOCウイークリー(ビレッジボイス)は、『マダガスカル』の後に『ハウル』を観ると米国のアニメーションがいか子供向けの作品か理解出来るとしている。一方で、ジャーナルニュースのように子供向け作品としては混乱し過ぎているとの評価もある。 しかし、良し悪しを越えて、軽めのエンターテイメントが多い米国の3D中心のアニメーションの中でクオリティや芸術性に重きを置いた作品として住み分けに成功している。公開に合わせたニューヨーク近代美術館(MOMA)での宮崎駿、高橋勲特集など、芸術性の高いイメージで宣伝活動を行ったディズニースタジオの戦略が成功している。 また、2Dアニメーションの技術についても大きな注目が集まった。既に、米国の大作アニメーションから消えつつある2Dだが、メディアの批評は概ね好意的である。こうした点を、クリスティアンサイエンスモニター紙は伝統的アニメーションの勝利としている。またニューヨークタイムズ紙も、世界的な巨匠の時代に逆行する試みとして大きな関心を寄せている。技術表現面においても作品の差別化は成功している。しかし、近年米国市場では劇場2Dアニメーションは興行的に苦戦しており、こうした住み分けが商業的な成功に繋がるかは判らない。例えば、ニューアークスターロダー紙は、ディズニーがこれほどまでに古いスタイルのアニメーションを賞賛するなら、なぜ自分達で2Dアニメーションを作らないのかといった疑問とともに2つ星半という厳しい評価をつけている。 全体的には大手紙を中心に高い評価がされており、週末の興行にいい影響を与えそうだ。また、来週末から拡大公開されるその内容も期待に応えたものになるだろう。シカゴトリビューン 4つ星ボルチモアサン 4つ星NYニュースデイ 4つ星サンディエゴユニオントリビューン 4つ星USAトゥデイ 3つ星半(4つ星中)ロサンゼルスデイリーニューズ 3つ星半(4つ星中)ボストンヘラルド 3つ星半(4つ星中)NYデイリーニューズ 3つ星CTV.Ca 3つ星(4つ星中)トロントアイウィークリー 3つ星(4つ星中)IGN 3つ星半(5つ星中)ニューアークスターロダー 2つ星半/ハウルの動く城公式ページ(米国)
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