■SNSがあれば、宣伝費は少なくても大丈夫
――ローソンの戦略として、アニメとコラボするのと、同時にSNSを最大限に活用されてきました。ローソンにとっては、SNSとアニメコラボは互いに補いあう車輪の両輪の関係にあると思うんですが……。
白井
そうですね。ローソンの公式アカウントで情報を出すと、熱心なファンのみなさんが拡散してくださるので、広告宣伝費が少なくてすむので、助かっています。
――それは、これまでSNSで構築されてこられたお客様との「つながり」の賜物ですね。今、Twitterのフォロワーは何人くらいですか?
白井
現在、Twitterのフォロワーが385万人で、企業アカウントでは2位。LINEが2505万人、Facebookが63万人、Instagramが28万人ですね(2018年12月現在)。
――「ローソンクルー あきこちゃん」は、どういった狙いで作られたのですか?
白井
「あきこちゃん」は2010年に出来たキャラクターで、もともとTwitterのキャラクターなんです。
最初にローソンが公式Twitterを始めることになったときに、企業ロゴでやるか、キャラクターでやるかというのを、私が社長に提案する必要があったんです。当時キャラクターで成功されている会社もあったので、ローソンもキャラクターでやりたいと提案しました。
――同じ商品を宣伝するのでも、企業ロゴと、キャラクターでは受ける印象が全然違いますね。このあきこちゃんは、別に白井さんご自身がモデルというわけではないんですよね。
白井
そうですね。私が店長をしていた大阪店舗のとあるクルーさんがモデルです。明るくて、お客さんにもとても人気のある女の子でした。
――一時期、「あらゆるSNSにあきこちゃんを出していく」という戦略をされていましたね。現在はいかがでしょうか。
白井
だいぶ、SNSが淘汰されてきた感じはありますね。
一度は手広くさまざまなSNSに公式アカウントを作っていたのですが、今はLINE、Twitter、Facebook、Instagramに集約しています。
――それぞれ、内容は違うんでしょうか。
白井
流している情報にそんなに違いはありません。若干、Instagramには女性に人気のもの、「映える」ものを投稿するようにしています。
――今は、「あきこちゃん」の運用に人工知能なども活用されていますね。マイクロソフトの人工知能で会話ができたり、将棋ができたり。
白井
ローソンのLINEアカウントには約2500万人のお友達がいるんですが、普通の企業アカウントだとプッシュ配信があったら見に来てくれるだけで、それ以外は見に来てくれないんですよね。
それであれば、あきこちゃんと「おしゃべり」できるようになればいいのかなと、マイクロソフトさんの開発した「りんな」というAIを入れたんです。
1日に10万人くらいの人があきこちゃんと雑談しにきてくれたり、将棋を指しに来てくれたりしていますので、幅が広がったので良かったと思っています。
■「作品を深く愛して理解すれば、ファンの方にも伝わる」
――最後に、今後のローソンはアニメとどんなふうに付き合っていくのか、そのヴィジョンを教えてください。
白井
スタジオジブリさんとの関係を築かれた山崎文雄さんの考え方ですが、「作品を深く愛して理解すれば、それがライセンサーさんにも、ファンの方にも伝わるんだ」ということは今後も大事にしていきたいです。
版権主さんから「ローソンは作品を大事にしてくれるから任せたい」と言っていただけるのが嬉しいです。
今振り返ると、やっぱり山崎さんが始まりだったと感じるので、これからも「山崎イズム」をずっと継承していきたいですね。