仲間と奏でる青春の日々「TARI TARI」【夏に見たいアニメ、この一本】 | アニメ!アニメ!

仲間と奏でる青春の日々「TARI TARI」【夏に見たいアニメ、この一本】

レビュー

音楽をやめてしまった一人の少女が、仲間たちと出会い、音楽と再会を果たす。TVアニメ『TARI TARI』は、夢も性格もバラバラな少年少女たちが、音楽を通じて絆を深めていく青春を描いた作品だ。

舞台は、海辺にあるとある町。高校3年生の坂井和奏は、母の死という過去をきっかけに音楽をやめてしまった少女。そんな彼女は、声楽部を退部することになってしまった宮本来夏と出会う。来夏は新しく作ろうとしていた合唱部に和奏を誘うが、今さら音楽を楽しめるわけがない―と言って、和奏は誘いを拒否する。しかし、来夏たち合唱部の歌に対する思いが、少しずつ和奏の心を溶かしていく。

和奏・来夏とともに歌を奏でるのは、乗馬を愛し、騎手を目指す少女、沖田紗羽、部員一名のバドミントン部に所属し、プロ選手を夢見る少年、田中大智、ヒーローに憧れるオーストリアからの帰国子女の少年、ウィーン。そんな5人の少年少女たちが、支えあったり、ときにぶつかり合ったりしながらも、ともに歌うことを通じてお互いの絆を深め合っていく。

彼らが持っている思いや夢は、それぞれ簡単に叶うものではない。劇中でも、夢を追いかけて、挫折を経験したり、大人たちとぶつかったりするシーンが描かれる。大人たちは、来夏たちに言い放つ。君たちのやっていることは遊びだ―と。
大人たちから見ると、たしかに来夏たちがやっていることは遊びにしか見えないのかもしれない。彼らの夢も思いも大人たちにとっては未熟なものでしかない。しかし来夏たちは、懸命に今を生きようとする。

高校最後の文化祭「白祭」に合唱部として出ようとする来夏たちだが、さまざまな困難が待ち受ける。それでも来夏たちはあきらめずひとつひとつ困難を乗り越えていく。かけがえのない仲間たちとともに精一杯歌うことができるのは今だけなのだ。その思いは、大人たちの心をも動かし、かつて自分たちも持っていた夢や思いをよみがえらせていく。

まさに、青春ドラマの王道ストーリーであり、大きなギミックやひねりはない。だがそれだけに青春の爽やかさやほろ苦さがストレートに味わえる作品に仕上がっている。聞いていると心地よい風が吹き抜けるような、オープニング曲やエンディング曲、それに劇中歌も魅力的だ。高校生という多感な時期の甘酸っぱい、かつはじけるようなひと夏を描いた傑作青春アニメのひとつだろう。

▽プロフィール
古戸圭一朗
駆け出しのライター。評論同人誌を作ったり、寄稿したりしてコミックマーケットや文学フリマに出るなどしています。
《古戸圭一朗》
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