ヒーローは必ずやってくる「ピンポン THE ANIMATION」【夏に見たいアニメ、この一本】 | アニメ!アニメ!

ヒーローは必ずやってくる「ピンポン THE ANIMATION」【夏に見たいアニメ、この一本】

レビュー

この企画を立ち上げて、いざ何にすればいいのか。夏の季節に合せるか長い休み期間だからクールの長い作品にするか迷っていたが、ふとテレビでオリンピックの映像を見たら「『ピンポン』が見たいなぁ」と思ったのでこの一本をおススメする。

『ピンポン THE ANIMATION』は2014年4月から6月まで、フジテレビのノイタミナ枠で全11話放送された。東京アニメアワードフェスティバル2015ではアニメオブザイヤー部門のグランプリを受賞している。
原作である松本大洋の『ピンポン』は、1996年から1997年まで「ビッグコミックスピリッツ」で連載。高校で卓球部に所属する星野裕こと“ペコ”と、月本誠こと“スマイル”の2人を中心とした青春の物語を描いた。2002年に映画化され、2014年にアニメとなった。連載終了後年月を経てからの映像化に恵まれている。

アニメの監督を務めたのは湯浅政明監督。『クレヨンしんちゃん』をはじめ『マインド・ゲーム』、『ケモノヅメ』、『ねこぢる草』など、独特な色味をもつ作品を多く手掛けている。テレビアニメシリーズでは『カイバ』や『四畳半神話大系』の監督を務め、『ピンポン』が放送された2014年には、国内でも人気の高い『アドベンチャー・タイム』のエピソード163「Food Chain」を手掛けた。

『ピンポン』の魅力は間違いなく松本大洋の描く世界観とキャラクター、関係性、セリフ、その他諸々だが、湯浅政明監督はその全てをそのままアニメにし、“今”だからこその新しい『ピンポン』を見せてくれた。時代設定を現代に合わせ、卓球のルールやスマイルが遊んでいる玩具をルービックキューブから携帯ゲームに変更するなど。他にも作中ではスマホのSNSアプリを使うシーンなどが登場する。さらに原作には登場しなかった理事長や孔文革の母親らが登場し、それによって新しいエピソードも増え物語の深みが増した。そして何よりもペコ、スマイルのメインキャラにとどまらず脇の脇役まで良い味を出している。キャストの力も大きい。

正直春夏秋冬いつでも勧めたい作品だが、オリンピック開催で「めちゃくちゃ頑張ってる人」をテレビで見る機会の多い今だからこそ勧めたい。高校卓球のスポ根ものであることには変わりないのだが、メイン以外の存在も際立ち、その上でペコとスマイルがいるということを強く感じる。頑張ってる人の上にはめちゃくちゃ頑張ってる人がいるということ。でも頑張っても届かない人もいるということ。
さらに本作は“ヒーロー”ものでもある。ペコはスマイルのヒーローだったが、成長して大海で、世界で活躍するみんなのヒーローになった。現実でも重なることだ。だからこそ、その過程が熱くてどうしようもなく泣けてくる。
ジェットコースターのような勢いで駆け抜けるペコとスマイルたちの物語は、年齢を重ねるとよりあっという間のように感じる。見終わった後は、「海、行くか」と思わずにはいられない。本作を見てなついあつを過ごしてみてはいかがだろうか。

▽プロフィール
タカロク
ガンダムと乙女ゲームをこよなく愛するアニメ!アニメ!編集部。脚本やシナリオも書いたり舞台もやったり。
《タカロク》
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