高瀬司(Merca)のアニメ時評宣言 第9回 『マクロスΔ』とアイドルアニメとの三角関係 | アニメ!アニメ!

高瀬司(Merca)のアニメ時評宣言 第9回 『マクロスΔ』とアイドルアニメとの三角関係

連載・コラム

■ 高瀬司(たかせ・つかさ)
サブカルチャー批評ZINE『Merca』主宰。ほか『ユリイカ』(青土社)での批評や、各種アニメ・マンガ・イラスト媒体、「Drawing with Wacom」でのインタビューやライティング、「SUGOI JAPAN」(読売新聞社)アニメ部門セレクターなど。
Merca公式ブログ:http://animerca.blog117.fc2.com/

■ 『マクロスΔ』とアイドルアニメとの三角関係

物語評論家のさやわかは『僕たちとアイドルの時代』(星海社、2015年)で、インタビュー資料や音楽チャートを紐解きながら「AKB商法とはなんだったのか」を歴史的に分析することを通じて、日本のアイドル史/カルチャー史(ひいては現代日本における倫理)を論じている。

いまさら説明する必要もないだろうが、ここで議論の軸とされているAKBグループとは、狭義には秋元康プロデュースのもと「会いに行けるアイドル」をコンセプトに2005年12月に結成され、秋葉原はAKB48劇場での活動で強力な地盤を固めたうえで、2009年よりマスメディアへと本格進出しハック・席捲した女性アイドルグループ/プロジェクトのことであり、広義には1980年代半ばの『夕やけニャンニャン』/「おニャン子クラブ」、1990年代後半からゼロ年代初頭の『ASAYAN』/「モーニング娘。」といった、TVというマスメディアを利用した「リアリティショー」からより一歩踏みこんだ、インターネット時代の「(ネットと両輪となり駆動する)現場のリアリティショー」を牽引していく、「メディアアイドルからライブアイドルの時代へ」を代表するシステムの名称と言えるだろう。

そして「AKB商法」とは、狭義にはAKBグループに代表される、音楽CDの複数枚購入を煽るようなビジネスモデルを揶揄する言葉であり、広義には「アイドル同士の熾烈な人気争いの全面化、スキャンダルすらドラマティックに読み替えるリアリティショー、CDを売るための貪欲な仕掛け、そしてそれらをアイドル自身に半ば強いて、ゲームのように細かなルールによって管理すること」(さやわか、202頁)を背景とする現代アイドル文化への倫理的反発とまとめることができる。

さやわかはこうしたAKBグループに対する反応から、現代の日本文化をめぐる諸問題との相似形を探り当てていくわけだが、それと同様に、ライブアイドルブームを背景とした2010年代におけるアイドルアニメブームをめぐっても、AKBグループを起点に考えていくことができるだろう【注1】。
本稿は、AKBグループから見えてくる現代のアイドルアニメをめぐっての簡単なエッセイとなる。

▼注1:さやわかは『Merca β01』(2015年5月)所収の座談会(さやわか×坂上秋成×村上裕一×高瀬司)においても、AKBグループとアイドルアニメとの連環を論じていた。「まず八〇年代に『コンプティーク』誌上でTRPG『ロードス島戦記』が連載されて大ヒットし、その流れから誌上でのゲーム企画がプレイバイメールとして開始されます。〔…〕ところが一九九二年に『マル勝PCエンジン』というゲーム雑誌が『女神スタジアム』という企画をはじめます。これもプレイバイメールなのですが、最大の特徴は誌上で紹介されるたくさんの女の子キャラクターからお気に入りのものを読者に投票してもらい、その人気を競わせるような内容になっていたことです。〔…〕この流れのなかから「多数の女の子から誰かを選ぶ」というコンテンツが生まれて、『シスタープリンセス』や『HAPPY★LESSON』『双恋』などのヒット作を経て、『ラブライブ!』まで行きつくというわけです。またその過程でこの形式を参照した『ネギま!』やAKB48も生まれている」(第2版37頁)。
《高瀬司》
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