高浩美のアニメ・マンガ×ステージ評 舞台「曇天に笑う」、「カーニヴァル 始まりの輪舞曲」、「じょしらく弐」 | アニメ!アニメ!

高浩美のアニメ・マンガ×ステージ評 舞台「曇天に笑う」、「カーニヴァル 始まりの輪舞曲」、「じょしらく弐」

連載・コラム

(C)唐々煙/マッグガーデン 撮影:渡部孝弘
  • (C)唐々煙/マッグガーデン 撮影:渡部孝弘
  • (C)唐々煙/マッグガーデン 撮影:渡部孝弘
  • (C)御巫桃也/一迅社・カーニヴァル製作委員会(C)2016THE STAGE『カーニヴァル』製作委員会
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  • (C)久米田康治・ヤス/講談社撮影/洲脇理恵(MAXPHOTO)
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高浩美のアニメ・マンガ×ステージ評
連載第170回

■ 舞台『曇天に笑う』

昨年好評だった人気舞台、一部俳優陣が入れ替わっての再演となった。
ストーリーは同じではあるが、初演よりスピード感もあり、引き締まった印象、スタイリッシュな映像で、黒、というより、墨に近い色彩で様々なシーンを表現する。『曇神社』の曇三兄弟、地域の治安のために心を砕き、人々から愛されている。
物語の出だしは温かい関係性が描かれているが、一方では、時代に取り残された不満分子、特に武士だった者は刀を取り上げられてしまい、”無法者”となっていく者もいる、そういった”時代の闇”も同時に見せる。舞台版に登場するオリジナルキャラクターは元武士だが、明治になって山賊に、廃刀令にもかかわらず、刀を所持したままだ。「サムライをなめるなよ!」と暴れる姿は哀れだ。

物語は『大蛇(オロチ)の器』を軸に進行していくが、その”サイドストーリー”、曇天火と右大臣直属の部隊・犲(やまいぬ)の隊長・安倍蒼世の唯一無二の友情、犲の創設者である岩倉具視の企みと思惑、金城白子の”事情”、それぞれが絡み合って大きくうねりながらクライマックスへと突入していく。
構成はわかりやすく、感情移入もしやすい。映像で大蛇(オロチ)を表現するが、俳優の演技と映像が一体となって迫力を持って観客席に迫る。音楽もアコースティックギターの音色が物悲しくもあるが、心に染み入る空気感を出し、アクションシーンや殺陣も単なる”かっこいい”、”派手”という言葉では言い尽くせない陰影と不穏な空気を醸し出し、『曇天に笑う』の世界を創造する。

原作を飛び出し、アニメとは異なる演劇独特の臨場感、生きること、正義、絆、友情等、普遍的なテーマを描いているが、生身の人間が表現することの意味、意義、舞台『曇天に笑う』はそういった奥行きがある作品だ。

[公演データ]
■東京公演 
2016年5月27日~6月5日
天王洲 銀河劇場
■大阪公演
2016年6月10日~6月11日
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
http://www.vap.co.jp/dontenniwarau/theater/

■ THE STAGE『カーニヴァル 始まりの輪舞曲』

『コミックZERO-SUM』(一迅社)にて2007年より連載中の人気コミック、今回は初の舞台化となる。
開演直前に風の音が響き渡る。无(ナイ)が登場し、とぎれとぎれの言葉がだんだん歌になる。おもだったキャラクターが登場、物語の始まりである。能力者(ヴァルガ)に襲われる无(ナイ)、花礫(ガレキ)、この能力者(ヴァルガ)、ここは舞台ならではのコンテンポラリー的なコリオで、怪しさと不気味さを表現する。

最初からミュージカルナンバーが次から次へと続き、特に2曲目は観客も盛り上がれるような楽曲となっている。映像を使うところもあるが、どちらかと言うと”アナログ的”な演劇ならではの演出、物語はハードだが、ところどころにホッとするシーンもあり、そこは”エンターテイメント”。ツバキの想い人のメイガはツバメとヨタカの双子のデータを得るためにツバキを利用していたのだが、結果、ヨタカは能力者になってしまい、そのヨタカを止めようとしてツバキは落命するが、その姿は切なく、またそれを知ったガレキは慟哭、ここは泣けるシーンだ。また、ラスト近くのバトルシーンも迫力があってここも見どころとなっている。
ナイを始め、主要な人物は皆、孤独で傷ついている。登場人物たちは心を通わせて寄り添っていく。ナイは「家族って大事なんだね、家族になったんだね」と言う。気持ちが通じ合い、どこかで共鳴し、お互いを思いやる。無垢なナイはそれを”家族”と表現した。薄暗い曇から光がもれて、だんだん明るくなるようなエンディングであった。そんな”結末”を迎えた後は、賑やかなショータイム、なかなか粋な計らいのある”おまけ”であった。

[公演データ]
2016年5月20日~29日
あうるすぽっと
http://karneval.eigeki.jp

■ 『じょしらく弐~時かけそば~』

昨年好評だった舞台『じょしらく』の第2弾。舞台仕様は昨年と同じで中央に盆があり、これが回って舞台転換する。ゲネプロではチーム『ら』[中田花奈(暗落亭 苦来) 生駒里奈(空琉美遊亭 丸京) 能條愛未(蕪羅亭 魔梨威) 松村沙友理(防波亭 手寅) 鈴木絢音(波浪浮亭 木胡桃)]。ゆる~く、可愛く、突拍子もない、妄想てんこ盛りなギャグネタは前回同様に健在だ。時事ネタ等も折り込んだ台詞もあり、脚本家の腕の見せ所、今回は、なんと防波亭 手寅が2066年に”時かけ”してしまうのである。

劇中落語はよく知られている『まんじゅうこわい』をベースにした創作落語『まんじゅうこわすぎる』。ゲネプロでは蕪羅亭 魔梨威演じる能條愛未が披露、なかなか上手い(昨年の囲み会見では落語界から”引き抜き”オファーがあったことを披露)。
”時かけ”なので、展開はシュールな部分もあるが、これがアクセントになっており、”差し障りのないゆるい会話”がかけ合わさって前回公演と異なる印象。ラスト近く、シルエットで表現しているが、防波亭 手寅が未来で歳を重ねた自分に会う下りはちょっと感涙。
時間は無情にも過ぎてゆくものだが、その一瞬一瞬を懸命に生きる。「毎日は当たり前のように過ぎていく」「私の過ごした瞬間は一瞬たりとも間違っていない」という台詞がある。何気ない会話、日常、全て意味のあることである。この5人は見た目はゆるいが、その中に一瞬の煌めきがある。演者の懸命さとリンクし、多重に見えるのは演劇ならではの”楽しい企み”だ。

[公演データ]
2016年5月12日~5月22日
AiiA 2.5 Theater Tokyo
http://www.nelke.co.jp/stage/jyoshiraku2/

舞台『曇天に笑う』
(C)唐々煙/マッグガーデン 撮影:渡部孝弘

THE STAGE『カーニヴァル 始まりの輪舞曲』
(C)御巫桃也/一迅社・カーニヴァル製作委員会
(C)2016THE STAGE『カーニヴァル』製作委員会

『じょしらく弐~時かけそば~』
(C)久米田康治・ヤス/講談社
撮影/洲脇理恵(MAXPHOTO)
《高浩美》
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