「シュヴァルツェスマーケン」渡邊哲哉監督が語る“ロボットもので、仮想戦記もの”

インタビュー

「シュヴァルツェスマーケン」渡邊哲哉監督が語る“ロボットもので、仮想戦記もの”
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テレビアニメ『シュヴァルツェスマーケン』は内田弘樹氏による同名小説を原作シナリオとしたSFロボットアニメだ。作品の舞台は、現在の世界とはやや異なる歴史を歩んだ並列世界、PCゲームソフト『マブラヴ』にはじまった『マブラヴ オルタネイティヴ』(2001年)からさかのぼること18年前の1983年の東ドイツである。本作は2016年1月から放送を開始し人気を博している。

敵は人類に敵対的な異星起源種、通称・BETAと呼ばれ群れを成し襲ってくる謎の生物。作中の1983年時点では7種類のBETAが確認されている。なかでも長距離レーザーを照射する「光線(レーザー)級」と呼ばれるBETAがいる戦場では、航空機が撃墜されてしまうため、人類は「光線級吶喊(レーザーヤークト)」と呼ばれる作戦で制空権の掌握を急いでいる。
本作の主人公・テオドール・エーベルバッハが所属する第666戦術機中隊は光線級吶喊を最優先任務として行動している。『シュヴァルツェスマーケン』は末期戦の最中、最前線で戦い続ける者たちの物語だ。

アニメ!アニメ!では監督を務める渡邊哲哉さんに、本作の制作について話を聞いた。渡邊監督はロボットものを数多く手がけ、さらには美少女アニメやアイドルアニメにも参加してきた。ロボットと美少女いずれも魅力の本作、渡邊監督はどう組み立てていったのだろうか。
[取材・構成=細川洋平]

『シュヴァルツェスマーケン』オフィシャルサイト http://schwarzesmarken-anime.jp/

■ ロボットものであり、仮想戦記もの

―-渡邊監督が本作に関わったのはどういつた経緯ですか?

渡邊哲哉監督(以下、渡邊) 
僕は『君が望む永遠』という作品を監督しているのですが、その原作ゲームを手がけたのが『シュヴァルツェスマーケン』と同じage(アージュ)なんです。話をいただいたのはその流れだと思っています。僕はいつもロボットものがやりたいと思っているのですが、「最近はロボット作品が減ってきたな」と思っていたところ、このお話をいただきました。“ロボットものができる”と引き受けました。

―-まず小説を読まれたと思います。その時の感想は?

渡邊 
これはロボットものを隠れ蓑にした仮想戦記だと思いましたね。お話をいただいてから全巻をバーッと読んで、驚いたんです。「これをアニメ化するんですか!?」と(笑)。映像化は大変だと思いながら、かたちにしていきました。

―-小説からのアニメ化への道筋はすんなり見えたのでしょうか。

渡邊 
細かい描写などは小説がしっかりしているので、そこを拾いつつです。とは言えボリュームが多い作品ですからテレビアニメにする際には戦闘シーンとキャラクタードラマの描写バランスや、どこを削りどこを残すのかを非常に悩みました。

―-どのように解決されたのでしょうか。

渡邊 
シリーズ構成の樋口(達人)さんがすごくがんばってくれたんです。僕が諦めようとしていたエピソードを逐一拾って。彼はもともとぎっちり詰めこんだ作品をたくさんやってきた経験があり、そこがうまいですね。いけると判断したんだと思います。


■ アイリスディーナは憧れの大人の女性

―-もう少し具体的にうかがってもいいでしょうか。

渡邊 
小説の要素を全般的に拾いつつ、キャラクターを一本通して成長していくような話にしようと樋口さんと話しました。主人公のテオドールが見上げる存在としてアイリスディーナがいます。いわば『銀河鉄道999』のメーテルみたいな女性です。やがてテオドールが彼女に並び立つようになるんです。

―-小説には何人かのヒロインが出てきますが、アニメではどう配置したのでしょうか。

渡邊 
ヒロインはアイリスディーナに絞りました。小説で活躍するカティアとリィズはヒロインというよりは引いたかたちです。

―-ただ第1話でリィズらしきシルエットも登場していますね。
渡邊 
リィズ再登場の前振りです。ちょっと見せ過ぎちゃったかな。

■ ドイツという土地、国を描くこと

―-本作は異星起源種・BETAとの絶望的な戦いであると同時に、政治的な要素が絡み、非常にシリアスな空気となっています。監督はこの空気をどう感じられましたか。

渡邊 
仮想戦記ですので、ソ連であれ東西ドイツであれ、ある程度は史実を元にやっています。とても挑戦的な作品だと思いました。
これを「やってもいいんだろうか」という部分もありました。作品に携わることで知ったのですが、物語に出て来るシュタージ(東ドイツの秘密警察の通称)という組織は実在したんです。しかも相当酷いことをやっている。実際に被害を受けた人もいる。そう考えるとどこまで踏み込んで描いたらいいのか、非常に気を遣いました。


―-小説から世界観を作る際に気をつけたポイントはありますか?

渡邊 
小説のイメージを残したいと感じていました。華々しさがかなり抑えられているので、アニメでも派手になりすぎず、地味になりすぎずうまく描きたいですね。あとは、舞台が東ドイツなので重苦しいイメージがどうしても付いてしまうんです。私自身の世代が持つ、東西ドイツや鉄のカーテンの向こう側という意識もあります。できるだけ重くなりすぎないように気をつけています。

―-ドイツ国土の特有の表現はいかがでしょうか。

渡邊 
そうですね。ドイツにはほとんど山がないので、山に囲まれた土地育ちとしては描いていて不安になるんですよ(笑)。そもそもスケール感が日本と全然違う。そこは美術監督の針生(勝文)さんに助けられています。

―-だだっ広い雪原をロボット=戦術機が匍匐飛行していく様子はとても見応えがあります。

渡邊 
光線(レーザー)級BETAに狙われてしまうため、戦術機は高く飛べないんですよね。だからなるたけ地面を這うように飛ぶ。描写的にも縛りはありましたけど、平らな雪原は描きやすくて助かりました。ただ1話だとどこまで平らなのか試行錯誤していた段階だったので、少し凹凸を付けています。それで光線級吶喊(レーザーヤークト)を成立させたり。それが回を重ねる毎に「何もなくてもいいんだ」と実感してきて、真っ平らに描くようになりました。
《細川洋平》

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