「攻殻機動隊 新劇場版」 脚本・冲方丁インタビュー “素子たちの青春がテーマ” | アニメ!アニメ!

「攻殻機動隊 新劇場版」 脚本・冲方丁インタビュー “素子たちの青春がテーマ”

インタビュー

『攻殻機動隊』の長編新作映画『攻殻機動隊 新劇場版』が2015年6月20日に公開される。本作はこれまで描かれなかった公安9課の起源や素子の出生の秘密を描く注目作だ。2013年6月から約2年間にわたり劇場上映した『攻殻機動隊 ARISE』のスタッフが再び揃う。総監督・キャラクターデザインは黄瀬和哉さん、脚本は冲方丁さんが担当する。
2004年の『イノセンス』より11年ぶりの長編劇場作品としてファンからの期待も大きい作品だ。このインタビューでは、脚本の冲方丁さんにシリーズにおける本作の位置づけ、見どころをうかがった。
[取材・構成=沖本茂義]           

映画『攻殻機動隊 新劇場版』
2015年6月20日全国ロードショー
http://kokaku-a.jp/

■ テーマは“青春”

―タイトルが『攻殻機動隊 新劇場版』とかなりシンプルです。

冲方丁氏(以下、(冲方)
いろいろと考えたのですが、グルグルまわって全部パージされた感じですよね。結果的にメチャクチャシンプルに落ち着きました。

―『攻殻機動隊』シリーズにおける位置づけとして、従来のシリーズとのつながりはどうなるのでしょうか?

冲方
これだけ過去にシリーズがあるので、完全に切り離すことは不可能なわけです。少なくとも『新劇場版』を観て、逆にそこからほかのシリーズにも入ってきていけるようにつくっています。

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―具体的な内容としてはいかがでしょうか?

冲方
劇場公開されたBoaderシリーズでは、4作品それぞれにテーマがありました。TVシリーズ『Alternative Architecture』でも「敵」というテーマから物語をつくっていきました。今回『新劇場版』のテーマとしてオーダーされたのは「青春」です(笑)。

―青春!? 『攻殻機動隊』のイメージからは予想外ですね。

冲方
Boaderシリーズで素子たちは突出して叩かれて散々な目にあいましたが、そこで自分たちの力に目覚める。社会との折り合いのつけ方みたいなものをガン無視して突っ走っていく。もう兎に角は“若さ”そのものですね。それまでは鬱屈した感情や腐ってしまう自分に負けていたんですけど、素子を中心軸として自分たちの未来をつくり出していく。
僕のなかのテーマは原作にもあった「未来をつくる」というフレーズなんです。そこに着地できるようにつくろとう思いました。

―これまで描かれなかった若い素子たちを描きつつも原作に回帰していく物語になると。

冲方
むしろ原作にバシッと合わせるために過去の財産も含めて遠慮無く使おうと。そこは『ARISE』シリーズ総決算でもありますね。今さら遠慮していられない。そういう意味で「青春」なんでしょうね。
一方で「存在そのものに未来がない人たち」を描こうと思いました。これはテクノロジーが発達することで必ず生まれるものです。たとえばガソリンが普及したことで炭鉱夫の行き場がなくなったようにハイテク化についていけない人たちが出てくる。『新劇場版』では、「全身義体だけどそのパーツは今後生産されない」という人が出てくる。いわゆる「デッドエンド」を迎えた人たちの最後の抵抗と、新たな未来をつくる素子たちの戦いを描きます。

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■ 劇場長編をフラットに乗り切る

―実際に脚本を書かれていかがでしたか?

冲方
なぜほかのメンバーが素子についていったのかというのは、台詞では説明し切れない部分がたくさんあるんです。各キャラクターに「素子のこんなところが素敵」と喋らせるわけにもいけないので、そこをどう描くか工夫しました。
メンバーは素子の突出していく先に未来があると確信しているし、今まで見たこともない景色を見せてくれる素子に惹かれていく。でも実は素子自身も、個人では状況を突破できなくて仲間が必要となる。そういった関係性をいかにつくり上げていくかを、野村監督が映像面で上手く演出してくれると期待しています。

―『攻殻機動隊』の長編劇場作品としては、2004年の『イノセンス』以来とかなり久しぶりです。それだけにファンからの期待も大きいと思いますが、脚本を書くにあたり意識されましたか?

冲方
これまでと物理的にも精神的にも何もかも違いました。はじめは迷走してプロットが全然成り立たなくてかなり苦労しました。
逆に想い入れなんか持っていたら押しつぶされてしまうので、逆にフラットに乗り切ろうと思いました。

―それだけ大きいプロジェクトという意識があると。

冲方
もうまさに巨大なものを目の前にしている状況で、僕や野村監督はトグサみたいなものですよ(笑)。でも追い詰められつつも、腹を括ってルーキーなりにイジを張ってやろうと臨みました。

―『ARISE』と『新劇場版』を経て、『攻殻機動隊』に対する理解や接し方に変化はありましたか?

冲方
脚本を書いていくなかで、今まで以上にキャラクターの背景に見えてくるものがたくさんありました。そのキャラクターを通じて世界を見ていくとまた新たな発見があると思いますので、そこはお客さんとも共有したいと思っています。
たとえパラレルワールドであっても、原作や過去の映像作品がより楽しめるつくりとなっていますので、そこを是非お楽しみください。

―どうもありがとうございました。

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《沖本茂義》
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