1月15日、 デジタルコンテンツの人材育成を行うデジタルハリウッドが『アップルシード アルファ』のCGメイキングセミナーを開催した。監督を務めた荒牧伸志さん自ら未来のクリエイターに向けて、フォトリアルなフル3Dアニメーションがどのように制作されたのか講義した。さらに特別ゲストとして、『アニマトリックス』「アップルシード」シリーズ、『キャプテンハーロック』などを手がけた本作プロデューサー ジョセフ・チョウさん、デジタルハリウッド学長の杉山知之さんが登壇。クロストークでは、濃密な3DCG談義を展開した。第一部は、「荒牧監督によるアップルシード アルファの特徴的な映像づくりについて」と題された。実際に使われたイメージボードやキャラクターのデザインを用いてフルCGアニメーションの作り方が説明された。荒牧監督ならではの、作業工程を円滑に早く進める方法として、「通常絵を書いて進めていくコンテをコンピューター上でキャラクターを配置しながらコンテを進め、さらにモーションキャプチャの俳優の演技の動画をつなげてビデオコンテとして使用する」、「スタッフ全員に早い段階で監督の中にあるイメージを共有することが近道」と独自の裏技が披露された。第二部では、荒牧監督、プロデューサーのジョセフ・チョウさん、デジタルハリウッド学長の杉山知之さん3人によるクロストークが行われた。「監督にとって“アップルシード”とは?」と訊かれた荒巻監督は、「1作目も2作目もそれぞれ新しい映像手法で評価をしてもらっていましたが、今回は“アップルシード”のリブートと考えていたので、新しい映像、新しい仕掛けをつくっていかないといけない、という気持ちで臨みました。常にチャレンジしていく作品だと思っています」と回答した。またジョセフさんは、「アップルシード」シリーズが海外で人気を得ている理由を「作品が持っている職人芸的な日本人特有のタッチや雰囲気」と分析。「そういう意味ではピクサーで同じものはつくれない。さらに製作費を聞いて驚かされました。当時5倍もらってもその金額では作れないと思ったほどで、日本にはすごい職人たちが集まっていると驚愕しました」とコメントした。本セミナーは未来のトップクリエイターが多数参加していたが、荒巻監督が彼らに望むものとは何か。20代前半に日米合作の仕事でアメリカにいた荒巻監督は、現地で自身がデザインしたおもちゃや日本のテレビアニメが放送されているのを見て、海外との垣根はないと感じたという。「思ってるほど壁はない。どんんどんチャレンジしていって欲しいですね。私もメカデザイナーだけど、コンテやりたい、とやってきたので、いろんなことを貪欲にやってほしいです」と訴えた。最後にジョゼフさんが、CG業界の展望について「国内にも目を向けつつ、グローバルに展開していきたい。クオリティは守りながら効率化していく。CGで映画とシリーズで国内外でアピールしていく、というのが我々の課題」と語りセミナーを締めくくった。『アップルシードルファ』2015年1月17日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショーhttp:// appleseedalpha.jp
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