「バケモノの子」15年7月公開 細田守監督の最新作は渋谷から世界に挑戦 | アニメ!アニメ!

「バケモノの子」15年7月公開 細田守監督の最新作は渋谷から世界に挑戦

12月12日、細田守監督の待望の新作長編アニメ映画の製作発表が行われた。2015年7月11日に東宝系で全国公開される『バケモノの子』だ。

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12月12日、細田守監督の待望の新作長編アニメ映画の製作発表が行われた。2015年7月11日に東宝系で全国公開される『バケモノの子』だ。少年とバケモノの出会いからはじまる「新冒険活劇」だという。
細田監督の劇場長編としては3年ぶりの新作だ。『時をかける少女』(2006年)、『サマーウォーズ』(2009年)、そして『おおかみこどもの雨と雪』(2012年)といずれも国内外で高い評価を獲得してきただけに、本作にも大きな期待がかかる。

とりわけ2013年に日本アニメ界の宮崎駿監督が長編アニメからの引退を発表するなかで、本人の考えとは別にポスト宮崎の声は大きく、注目また大きい。実際にアニメファンと一般層の双方の支持を得ていること、国内だけでなく海外での評価も得ていることなど宮崎アニメとの共通点は多く、その期待は納得がいくところだ。
興行に対する期待もまた大きい。2009年の『サマーウォーズ』が興行収入16.5億円、2012年の『おおかみこどもの雨と雪』が42.2億円と大ヒットしているからである。一般層にも受け入れられるとされる理由でもある。

そんな細田監督が2015年に放つ『バケモノの子』は、細田監督らしい納得する部分と新たな驚きの双方がある。驚きのひとつは、作品の舞台に“渋谷”をピックアップしたことである。前2作『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』が地方を舞台にしたのと対照的だ。
しかも、それがバケモノ界“渋天街”とつながっているのだという。日常と非日常が連続するのは、『時をかける少女』を想起させる。
また「ひとりぼっちの少年とひとりぼっちのバケモノの出会い」との話は、未来からきた少年との出会い(『時をかける少女』)、大家族とのふれあい(『サマーウォーズ』)、オオカミオトコとの出会い(『おおかみこどもの雨と雪』)と、細田監督に流れる普遍的なテーマに見える。つまり、コミュニケーションがいかに生まれ育っていくかである。
一方で、“新冒険活劇”を掲げているのが注目だ。主人公が少年とバケモノとなれば、近年の作品よりアクションやファンタジックな要素が強まりそうだ。夏休みらしいエンタテインメント満載も予想される。

細田監督は監督のほか原作、脚本も手掛ける。監督の個性が大きく出そうだ。それを支えるスタッフは、まず作画監督が山下高明と西田達三のふたりである。山下高明は、『おおかみこどもの雨と雪』に続く細田作品での作画監督となる。細田監督の東映アニメーション時代の傑作『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』でも作画監督を務めている。西田達三も東映アニメの出身、細田作品ではこれまで原画として参加してきた。
美術監督は大森崇、高松洋平、西川洋一の3人である。近年のスタジオジブリの映画『コクリコ坂から』『思い出のマーニー』などで活躍してきた。しばらくはスタジオジブリの長編映画がないと見られる中で、細田作品でその実力を発揮することになる。
音楽も『おおかみこどもの雨と雪』に続き、高木正勝を起用した。分野に限定されない楽曲づくりが今回も発揮される。

そして作品製作を支えるビジネス面でも、新たな挑戦がある。ひとつは作品の製作幹事が日本テレビ放送網とスタジオ地図の共同幹事となったことだ。スタジオ地図は細田監督の想いを実現するスタジオとして2011年に設立された。『バケモノの子』は、スタジオ地図にとって『おおかみこどもの雨と雪』に続く2本目の長編アニメとなる。
『おおかみこどもの雨と雪』では企画・制作であったが、今回では幹事として映画の製作により深く関わる。製作面でも細田監督の考えがより反映されそうだ。

また海外展開に新たな動きがある。『バケモノの子』は、フランスの老舗大手GAUMONT(ゴーモン)との連携が決まっている。すでにフランスでの劇場公開が決定しており、さらにアジア以外の海外セールスでも協力する。日本の映画が公開より半年も前から海外公開が決まっているのは異例だ。
これはフランスでの細田守への高い評価に加えて、海外のファンも意識する細田監督ならの展開だろう。日本のポップカルチャーの中心地“渋谷”を舞台にしたアニメが世界にどのくらい届くのか?2015年の『バケモノの子』から目が離せない。
[数土直志]



『バケモノの子』
2015年7月11日(土)から全国公開
http://www.bakemono-no-ko.jp/

監督・脚本・原作: 細田守
作画監督: 山下高明 西田達三
美術監督: 大森崇 高松洋平 西川洋一
音楽: 高木正勝 

製作: 日本テレビ放送網 スタジオ地図 KADOKAWA 東宝
日本テレビ放送網・スタジオ地図 共同幹事作品

[/アニメ!アニメ!ビズより転載記事]
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