第18回文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門の大賞に、米国のGoogles’s Niantic Labsが開発したゲームアプリ「Ingress」が選ばれた。ゲーム関連の大賞受賞は、第11回の「Wii Sports」以来7年ぶりとなる。大賞作品がアプリであるのは、いかにも今日的だ。「Ingress」は、モバイルの持つGPS(グローバル・ポジショニング・システム)と世界地図のデータベースを活用した多人数同時参加型のモバイルアプリゲームである。Niantic Labs はGoogleの社内起業プロジェクトから誕生した。現実の空間を仮想世界のゲームとつなげてしまうアイディアが多くの人に驚きを与えた。文化庁メディア芸術祭は、過去一年間に発表されたメディア芸術の中から優れた作品を顕彰するために18年前にスタートした。狙いのひとつは、既存のアートの枠組みで評価出来なかった作品にもっとスポットを当てるものだ。メディア芸術祭にクロスオーバーな作品が多い理由のひとつでもある。顕彰は4つのジャンルに分けられているが、なかでもエンターテインメント部門は多彩な作品に満ちている。“エンターテインメント”と括ることで、ゲームやウェブコンテンツ、映像作品、音楽プロジェクト、インスタレーション、パフォーマンスなどを多様な作品を網羅するからだ。そうしたなかでいま人々に最も身近なデバイスであるスマートフォンとネット上のツールを結びつけ高い評価を受けたのが「Ingress」である。メディア芸術祭は贈賞理由として、近年のメディア芸術の課題であった「私たちはどこへ向かうのか?」を描くことに対して決定的なビジョンを示すことに成功していると評する。このほかエンターテインメント部門では、優秀賞としてウェブ上のオープンソースプロジェクト「のらもじ発見プロジェクト」、3Dプリンターとスマートフォンを活用したガジェット「handiii」、映像作品「Kintsugi」、インタラクティブインスタレーション「3RD」を選んだ。エンターテインメント部門らしい多彩さだ。新人賞のひとつに選ばれた『5D ARCHIVE DEPT.』も注目したい作品だ。九州の地域伝統のプロモーション映像だが、伝統と映像、ダンス、音楽、アイドル、CG、アニメーションと様々なカルチャー要素をひとつの作品に見事に食い合わせている。プロデューサー兼ディレクターの香月浩一氏は、アニメスタジオのサンライズでの制作の経歴もある。映像にどこか漂う非現実感も納得だ。第18回文化庁メディア芸術祭http://j-mediaarts.jp/『Ingress』https://www.ingress.com/『5D ARCHIVE DEPT.』第18回文化庁メディア芸術祭 エンターテインメント部門■ 大賞 『Ingress』 Googles’s Niantic Labs (創業者:John HANKE) (米国)■ 優秀賞 『のらもじ発見プロジェクト』下浜臨太郎/西村斉輝/若岡伸也 (日本) 『handiii』近藤玄大/山浦博志/小西哲哉 (日本) 『Kintsugi』APOTROPIA(Antonella MIGNONE / Cristiano PANEPUCCIA) (イタリア) 『3RD』Hedwig HEINSMAN / Niki SMIT / Simon van der LINDEN (オランダ)■ 新人賞 『Auto-Complain』 Florian BORN (ドイツ) 『Slime Synthesizer』ドリタ/エアガレージラボ(川内尚文/佐々木有美) (日本) 『5D ARCHIVE DEPT.』香月浩一 (日本)
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