ファミリーミュージカル『ゲゲゲの鬼太郎』、リアルに鬼太郎たちが舞台で大活躍! | アニメ!アニメ!

ファミリーミュージカル『ゲゲゲの鬼太郎』、リアルに鬼太郎たちが舞台で大活躍!

高浩美のアニメ×ステージ&ミュージカル談義■ 『ゲゲゲの鬼太郎』主題歌作曲の故いずみたく創立の劇団 ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズ、オリジナルミュージカル一筋。

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高浩美のアニメ×ステージ&
ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]

■ 『ゲゲゲの鬼太郎』主題歌作曲の故いずみたく創立の劇団
ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズ、オリジナルミュージカル一筋。


日本人で知らない人はいない名作『ゲゲゲの鬼太郎』。詳しい話は省略するが、NHKの連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』では原作者夫妻が描かれ、もはや国民的なコミックとなった。
しかし、舞台化は意外と少ない。1996年の後楽園ファミリーミュージカル『ゲゲゲの鬼太郎』。それと人形劇団ひとみ座による人形芝居だけであった。それが、2014年3月、俳優座劇場で『ゲゲゲの鬼太郎 ~十万億土の祈り唄~』と題してミュージカル化。手掛けるのはミュージカルを専門とするミュージカルカンパニー イッツフォーリーズである。

この劇団は作曲家・故いずみたくが1977年に創立し、今も故人の遺志を引き継いでいる。そしていずみたくは『ゲゲゲの鬼太郎』の主題歌も作曲。その他『徹子の部屋』のテーマ曲なども手掛け、今も必ずどこかで彼の楽曲が聴けるほどで作曲数は15000以上とも言われている。つまり日本を代表する作曲家なのである。
そんないずみたくはミュージカルにも力を入れ、劇団を創ったのはいうまでもなく、日本のオリジナルミュージカル創りに力を注いだ。今、日本は2.5次元ミュージカルを始め、ミュージカル大国になりつつある。この隆盛の礎を築いたと言っても過言ではないだろう。

■ ひたすら“アナログ”な手法、世界観を損なうことなく良質のミュージカルに

このミュージカルの演出はラサール石井。『こちら葛飾区亀有公園派出所』では主人公の両津勘吉をアニメでもミュージカルでも当たり役としてきた。そして俳優業のみならず、脚本・演出でも活躍。今回のミュージカルでは演出だけでなく、脚本・作詞も行う。HPでラサール石井は
「今回のミュージカルはいつもの鬼太郎のお話とは少し趣が違うかもしれません。もちろん鬼太郎は登場しますしお馴染みの妖怪たちも活躍するのですが、物語は田舎に住む一人の男の目から見た世界になっています。その少年は水木しげる先生の少年時代のようでもあり、私ラサール石井の少年時代のようでもあり、そしてこのお芝居を観ているあなたの少年少女時代かもしれません」と語っている。

物語の舞台はとある田舎。都会から病気の療養でやってきたシゲル。すぐにマサオという少年と友達になる。マサオは婆と2人暮らし。父親は事業に失敗し、家族と離れて暮らしていた。勉強はダメだが、明るくて妖怪やもののけが好きな少年であった。そんなマサオとシゲルは友達になった。ある日、マサオの指にイボが出来た。そのイボが突然しゃべり出し、イボの妖怪が現れ、逃げた。そこに突然、目玉おやじが現れる。「お前は“鬼太郎”として生まれ変わる仮の姿だ」驚くマサオ。果たして……。

芝居が始まる前からねずみ男が登場し、客席を笑わせる。そしてオープニングに、あの曲が流れ、アニメの“鬼太郎”が脳内にふつふつと。ミュージカル劇団なので、歌・踊り・芝居はばっちり。おなじみのキャラクター、ネコ娘、子泣きじじい、砂かけばばあ、一反もめんまで現れて、アニメさながらに活躍。ねずみ男は相変わらずの小者ぶりが笑わせる。ファミリーミュージカルではあるが、大人が観ても十分楽しい。
ハイテク使いまくり、といった演出は一切なし。舞台上は簡単なセットだけ。映像ももちろん使用せず、ひたすら“アナログ”な手法を駆使。鬼太郎の髪の毛が立つところは黒子が髪を持ち上げる。黒子は随所に登場、スパイスが効いていて芝居のアクセントに。鬼太郎たちと対峙する妖怪、何故そうなったかの物語が悲しい。誰もが知っている『ゲゲゲの鬼太郎』にちょっとしたニュアンス・味付けをプラスし、世界観を損なうことなく、良質のオリジナルミュージカルに仕立てたのは脚本の力。出演者も“あのキャラクター”を演じる楽しさが伝わる。物語のラストはもちろん、あの曲。

終演後、キャストはロビーに。子供たちは鬼太郎やネコ娘らと撮影会。2.5次元ミュージカルの次世代ファン、このジャンル、ますますエンターテインメント界を席巻するであろう予感がした。

ファミリーミュージカル『ゲゲゲの鬼太郎 ~十万億土の祈り唄~』
7月27日 越谷市民ホール 大ホール
/http://www.allstaff.co.jp

『ゲゲゲの鬼太郎』
(C)水木プロダクション
《高浩美》
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