- 木崎文智(以下「木崎」)
原作サイドの意向をお聞きしてそれを尊重しました。純粋にそれぞれのキャラクターに合う声質と演技を優先したキャスティングなので、僕もそれが正解だと思います。
結果的には著名で実力のあるベテランの方に多く参加してもらうことになりました。
― このところ木崎監督はエッジの効いた作品をずっと手がけている印象がありますが、そういった傾向はご自身ではどのぐらい意識しますか?
- 木崎
基本的には来た仕事を受けて、仕上がったものが結果的にこうなった感じなんですね。だからとくに意識してはいないんですが、好きな方向性の仕事は続けてこれたとは思います。まわりからは「80年代や90年代のOVAっぽい」とよく言われるんですが、僕らの世代からするとそんなに珍しくなかったタイプのはずなんですよ。
あとはまあ、自分が監督をやるときって、みんなどうもアクションを期待しているみたいなんですよね(笑)。自分ではそこまで得意だとは思ってないんですが。
期待されている以上はアクションは外してはいかんなということで、毎回、悩みます。
アクションだけではなくドラマありきなので、キャラクターの心情とアクションが感覚的にすんなりつながるようには心がけています。
今回はごつい男性メインではなく、女性のセクシーなアクションだったので、そういった意味では新鮮な気持ちで作業できましたね。
毎日、女体を描き続ける日々はとても刺激的でした。(笑)
たださすがに画的にも濃い作品が続いたので、アクションを盛り込むにしても次はシンプルなキャラクターで、もっとドラマ主体の作品に挑戦してみたいですね。
― 『ベヨネッタ』のアクション描写でこだわった点は?
- 木崎
ベヨネッタとジャンヌはバレットアーツという魔女一族の格闘技を使っているんですが、単に腕や足を突き出してるわけじゃなくて、予備動作から技を出して、型を決めてるんですね。
なのでちゃんと流派のある格闘術に見えるよう殺陣を組み立てています。
あとは直線的な動きではない華麗な女性の柔らかさや、色気にも気をつけましたね。
後半のジャンヌ戦はおたがいがギリギリでかわしていく攻防なので、緊迫感を重視したカット割りにしています。ベヨネッタは足技が多いので、参考になるかなと思ってカポエラのDVDを買ったんですけど、これはあんまり使いませんでしたね(笑)。