映像演出は可能性に際限がなく、チャレンジ出来るポジション。舞台「銀河英雄伝説」 演出・ヨリコジュン氏インタビュー[取材・構成: 高浩美] ■ 9作目にして、やっと役者と映像の融合ができた気がします。 舞台『銀河英雄伝説』に様々な形で関わってきたヨリコ・ジュン。時には演出、時には脚本、ポジションは時々“異動”するが一貫して舞台の重要な部分を2作目からクリエイトし続けている。最初にこの仕事がきた時の感想が“マジかよ……”もっともである。アニメのDVD、全部を一気に観ようと思ったらたぶん、3~4日はかかる大作である。「最初は2作目の“ミッターマイヤー・ロイエンタール篇”の脚本を担当させていただいたんですけど……“もうやめよう”と思いました。嘘です(笑)。でも正直、作品は知っていましたが、深くは読んだことがなかったんです。この2作目はオリジナルだったんですが、自分にとってはいきなりオリジナルは難しかったですね。ヤリタイコトヲヤル、カッコイイ世界ヲ創ルというコンセプトでやっている自分のカンパニー(ANARCHYFILM)や、オリジナルの監督映画作品と違って、原作ありきだと難しいなと思いました。特に銀河英雄伝説は原作のファンの方もものすごく多いので……。この時、プロットをお書きになったのが、アニメ版の脚本・構成をしている大先生だったんです。銀英素人だった僕の脚本に何回もアドバイスをしていただきました……本当に勉強になったし……原作を読み込まなければって思いました。読み進んでいくうちに、すぐに田中先生の世界に引き込まれていきました。“今の時代に生きる自分たちにとって、とても勉強になる面白い作品だな”と」作品の魔力に取り憑かれるのはファンだけでない。スタッフもまたそのマジックの虜になる。諦めずにこの作品に関わり続けたのは、銀河英雄伝説という素晴らしい原作の舞台化には、底知れぬ可能性が感じられたからだという。再演ではなく、毎回ストーリーを変える、それは毎回“新作”であるということ。ブレることなく続けるというのは“奇跡”でもある。そして9作目でようやく2度目の演出を手掛けることになったヨリコジュン。「この9作目で初めて、やっと自分もいち銀英ファンとして……出来たかな?観る人によっては賛否両論あると思いますが、今までで一番『銀英伝』を好きな気持ちで創れたし、映像演出っていう部分も、原作の流れを深く理解して、時間をかけて解読して(自分なりにですが)だた、映像を映すだけではなく、役者と映像の融合を目標に自分のコンセプトも取り込んで、やっと9作目にして楽しく出来たかなぁと……この9作目『激突前夜』に関しては演出も映像も両方とも担当させていただいたので。いつもは演出家が毎回変わっていくので、大変な事が多いです(笑)。でも自分はずっと携わっている、常になんらかの形で……まあ、いろいろ言われながらも関わっています(笑)。作品との付き合いもながいもので3年ですね」
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