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「FLCL」 藤津亮太の恋するアニメ 第8回 初恋が初恋だとわかる時(後編) 

藤津亮太さんによるアニメと恋愛談義?今回は初恋をテーマに「銀河鉄道999」からさらに「FLCL」に至る。アニメで描かれた”初恋”とは?

連載 藤津亮太の恋するアニメ
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「それにしても、鉄郎やナオ太は、成長してメーテルやハル子のことを思い出すと思うんだけれど、メーテルやハル子は鉄郎やナオ太のことを思い出すかな?」

Nは少し思案顔になった。
「『男は初恋をあきらめる事ができず、女は最後の恋をあきらめる事ができない』ってヤツね」
「それ何?」
「ドラマか何かででてきた、名言ってヤツらしいわよ。それが名言かどうか、信じるかどうかはS次第だけど。メーテルはお母さんみたいなものだから忘れないと思うけど、ハル子はあやしいんじゃないかしら。ハル子だけじゃないわ。きっとニナモリも忘れるし、マミミもナオ太のおにいちゃんのことを忘れるんじゃないかなぁ」
「そうやって、上書きして前向きに生きてくのが人生といえば人生ではあるけどね。逆に、世の中で“初恋”ものの主人公が男であるのがNとしゃべっていると納得させられるよ」
「そうよね。女の子が主役の“初恋”ものってちょっとニュアンス違うのよね。原作の『時をかける少女』にしても、マルグリット・デュラスの『愛人/ラマン』にしても」

ふむ、と頷いて僕はNに尋ねた。
「ところでN自身は、初恋のことを覚えてる?」
「え? 私は覚えてるわよ。確か小6の時にデートでアイススケートにいって……あれ……バッティングセンターだったかな? 冬だから半袖で寒くて……え? 半袖? 夏で雨に降られて寒かったんだっけ?……」
女性全般はどうか知らないが、少なくともNの初恋の記憶は極めて粗雑に上書きされていることがよくわかった。
《animeanime》
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