アメリカ映画優先が国際共同製作も窮地に追い込む 欧州アニメーション動向 by 伊藤裕美
取材・文: 伊藤裕美(オフィスH)
■ アメリカ映画優先が国際共同製作も窮地に追い込む
ドイツのアニメーションはフランス以上に厳しい状況にある。フランスの放送局が長編に積極的でないとはいえ、いくつか重要なプレイヤーが存在するのに、ドイツでは全ての放送局が長編から手を引いている。
シュトゥットガルト国際アニメーション・フェスティバルなどを運営する、バーデン=ヴュルテンベルク州のMedien- und Filmgesellschaft Baden-Württemberg, FilmförderungのCEOであるガブリエル・ローテンマイヤーは、ドイツの現況について、「ビデオゲームのようなターゲットがはっきりした企画や視聴者/消費者主導のプロダクト以外は、ドイツ国内の長編アニメーションの制作はほとんどない。これが、共同製作の足枷になっている」。相当の予算を持つ助成金として知られるドイツの地域支援で、「優先的に選ばれるのはわが国のタレントとプロデューサー」とした。共同製作に門戸を開いているものの、現実には、ヨーロッパより、もちろんドイツの映画より、アメリカの映画に出資したがるディストリビューターが市場を歪める。「アメリカ映画優先が、自国制作の息の根を止め、国際共同製作を窮地に追い込む」、とローテンマイヤーは警鐘を鳴らした。
Studio 352のロランツは、「パートナーは各自の制作力を伸ばしている。プロジェクトのできるだけ早い段階から共同プロデューサーと連絡を取り合わねばならない。仮にわたしがパートナーに口を挟んだとしても、それが侵害と受け取られない関係でなければならない。国際共同製作こそ、他の何よりもチャンスになると信じている」、アメリカのメジャー映画が商業的独占地位にあることが、異なるタイプの映画制作を促すチャンスになるのかを考えるべきだと、カンフェランスの聴衆に促した。
必要に駆られて進まざるを得なかった国際共同製作であっても、ヨーロッパに蓄積されたそのノウハウは日本のプロデューサーに国際市場へ乗り出す指針を与えてくれているようだ。
[伊藤裕美]
オフィスH(あっしゅ)代表。
外資系ソフトウェア会社等の広報宣伝コーディネータや、旧エイリアス・ウェーブフロントのアジアパシフィック・フィールド・オペレーションズ地区マーケティングコミュニケーションズ・マネージャを経て1999年独立。海外スタジオ等のビジネスコーディネーション、メディア事情の紹介をおこなう。EU圏のフィルムスクールや独立系スタジオ等と独自の人脈を持ち、ヨーロッパやカナダのショートフィルム/アニメーションの配給・権利管理をおこなう。
http://blogs.yahoo.co.jp/hiromi_ito2002jp
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