TAF2008「欧州の日本アニメ最新事情」レポート | アニメ!アニメ!

TAF2008「欧州の日本アニメ最新事情」レポート

イベント・レポート

 3月28日、東京国際アニメフェア ビジネスデーのシンポジウムとして、「日本アニメは「ステップ・アップ」を遂げられるか?欧州の日本アニメ事情」が開催された。講演者は日本貿易振興機構の輸出促進・農水産部 主査の豊永真美氏である。
 豊永氏は長年フランス・パリで、ヨーロッパにおける日本のコンテンツ産業の調査を行ってきた。毎年、東京国際アニメフェアでは、ヨ-ロッパのアニメ・マンガ事情の現状を報告しており、その情報量と分析には定評がある。それだけに今回のシンポジウムにも多くの人が集まった。

【欧州地上波の日本アニメ放送は日本よりも多い】
 アニメのヨーロッパ市場というと、日本では大きな注目を浴びる北米や中国を含むアジア市場の影に霞がちである。しかし、その人口、消費者の可処分所得の大きさから、実際にはこれらと並ぶ巨大市場である。
 さらに今回の豊永氏の説明によると、ヨーロッパ各国の地上波で放映されているアニメの時間の多くが、日本の東京キー局の放映時間すら上回るほどでメジャーな存在である。

 しかし、こうした状況のなかでも、現地の日本アニメに対する知識の少なさから問題も発生しているという。
 ひとつは日本アニメも含めてアニメーションは子供向けとの認識が強く、番組ごとの放映時間のゾーニングを間違い、問題を起こすケースがあることだ。これにはフランスの地上波夕方18時に『MONSTER』が放映された例や、スペインの地上波で18禁アニメが放映された例があげられた。
 日本は作品を販売する際にただ販売するだけでなく、作品がどういった種類のもので、どういった時間に放映するべきかの情報を提供すべきではないかと豊永氏は指摘する。一方で、大人向けのアニメは深夜アニメやDVDで市場性があり、今後もビジネスの可能性が高いという。

 またもうひとつの問題点は、こうしたヨーロッパでの日本アニメコンテンツの大量の導入の背景には、未だ日本アニメが安い、それゆえ価値が低いと考える風潮が残っていることもあるという。

【深刻なヨーロッパの海賊版問題】
 ヨーロッパ市場の大きな問題として、海賊版の問題を提起する。豊永氏によれば、ヨーロッパは日本で思われている以上に海賊版の量が多い。また、日本に較べて映像クオリティに対する意識は低く、インターネット上の違法コンテンツの利用も多いという。
 さらに、単なる海賊行為だけでなく、創作物のオリジナリティの盗用が頻繁に起きている実情も紹介した。不二家のキヤラクター「ペコちゃん」が金髪バージョンで、スペインの菓子メーカーに盗用された例ななどで、日本のキャラクター、コンテンツをあたかも自分のオリジナルの創作物であるかのように装う例があるという。ヨーロッパでビジネスを展開する際には、商標と著作権の重要性を認識するべきだという。

【欧州のアニメ・マンガ関連企業は大企業が多い】
 また、日本ではあまり知られることのないフランスのアニメ・マンガ企業の現状も興味深い内容となっている。豊永氏の考え方では、フランスの企業はたまたま日本コンテンツを発見してビジネスを始めた第一世代、日本のコンテンツを観て育ったオタク世代が起業した第ニ世代がある。これにさらに第一世代や第ニ世代の企業を買収した大企業からなる第三世代の企業があるという。
 そして、日本企業が気をつけるべきは、この結果、日本のアニメ・マンガを扱う企業の多くが巨大なメディアグループとなっていることだという。

 講演はこのほか、ヨーロッパの大国でありながら、これまであまり触れられることのなかったスペインの最新情報や、『NARUTO』におけるキャラクターブランドのヨーロッパ展開の実例など盛り沢山であった。
 講演後の質疑応答も含めて、短時間に多くの情報が詰め込まれた情報価値の高いものであった。来年以降もこうしたシンポジウムが、東京国際アニメフェアで行われることを期待したい。

日本貿易振興機構 /http://www.jetro.go.jp/
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