先週末(11月17日)に全米公開されたワーナー・ブラザーズ製作・配給のフル3Dアニメーション『ハッピー・フィート』が、週末興収1位になり好調なスタートを切っている。 週末3日間の興行収入は4150万ドルと今年公開の3Dアニメーションでは、大ヒット作の『カーズ』(ピクサー)や『アイス・エイジ2』(20世紀フォックス)には及ばなかったが、『森のリトルギャング』(ドリームワークス)と『オープン・シーズン』(ソニー)を上回る。3Dアニメのメジャーリーグ またこの週末興行時の成績は、これまでワーナー・ブラザーズの製作したフル3Dアニメーションの中では過去最高である。さらに注目すべきは、これまで3Dアニメーションの2強のひとつとされたドリームワークス・アニメーションの今年の2作品『森のリトルギャング』、『マウス・タウン ロディとリタの大冒険』いずれの成績よりも良いことである。 ワーナー・ブラザーズは『ハッピー・フィート』によって、米国の3Dアニメーションのメジャーリーグ入りを果たしたと言っていいだろう。 これは今年の春に『アイス・エイジ2』を大ヒットさせた20世紀フォックスに続くものである。さらに今年から3Dアニメーションに参入したソニーピクチャーズの『オープン・シーズン』や『モンスターハウス』もある。 劇場3Dアニメーションの市場はこれまでのピクサーとドリームワークスの2強体制から、メジャースタジオがほぼ出揃った5社体制に移ったと言って良いだろう。3Dアニメ興収1位、2位 今年は8作品 しかし、ここで兼ねてから指摘されている3Dアニメーションが多過ぎるのでないかという問題が浮上する。 今年フル3Dアニメーションが米国の週末興収第1位になるのは、『アイス・エイジ2』、『カーズ』、『オープン・シーズン』に続いて既に4作目となる。さらに興収2位まで視野を広げると、『森のリトルギャング』、『モンスター・ハウス』、『マウス・タウン ロディとリタの大冒険』、『BARNYARD』と実に8作品となる。 作品急増の大きな理由は、ピクサーとドリームワークスが3Dアニメで好調な業績なのを見た、ハリウッドのメジャースタジオの新規進出である。 さらに、ピクサーとドリームワークス自身がアニメーションの生産量を増やしていることもある。ドリームワークス・アニメーションは、今年がそうであるように今後は年2作体制となる。また、これまでほぼ2年に1作品のペースであったピクサーも来年は『Ratatouille』を公開予定としており、毎年公開の体制に移りつつある。多過ぎる3Dアニメに対する懸念 このため既にハリウッドではフル3Dアニメーションが多過ぎるのではないかと指摘されている。それに対してSF映画が多過ぎるとか、ラブロマンス映画が多過ぎるとか批判がないのに、なぜアニメーションだけそんな指摘をされるのかといった反発も存在する。 しかし一番の問題は、こうした作品がほぼ全て、児童、学童といった特定の市場を視野に入れて、ターゲットとするマーケットが全く同じだという点である。大ヒットが続出する一方で、今年はピクサーもドリームワークスも、過去の作品ほどのヒットを達成出来なかった。 また、同じ3Dアニメーションでも、興行的にいまひとつの作品は昨年から増えつつある。 フル3Dアニメーションは、通常の劇場映画よりも製作予算が拡大する傾向にあるので、通常のヒットでなく大ヒットでなければ採算が取れないケースが多い。このため今後は、大手アニメーションスタジオの競争激化による共倒れも心配される。 大作3Dアニメーションのオンパレードは、ここ数年がピークとなる可能性も高いのでないだろうか。/ハッピー・フィート公式サイト(日本)
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