アニメ業界のトップに聞く!海外セールス裏事情:レポート | アニメ!アニメ!

アニメ業界のトップに聞く!海外セールス裏事情:レポート

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 このシンポジウムでは、東映アニメーションとGDHという日本アニメを代表する新旧の対照的な企業が日本アニメを海外に売り込む現場について語った。両社の違いは今年創業50周年を迎える東映アニメーションと、設立から5年というGDHの歴史の長さの違いからも判るだろう。
 また、東映アニメーションは大衆向けの子供市場を得意とし、GDHがハイティーン以上のマニア向けの市場を得意とする点なども大きな違いである。両社は、日本アニメの海外販売を行なうが相当異なったビジネスモデルを持っている。

 しかし、東映アニメーションの大山常務とGDHの石川社長の話を聞くと、両社の違い以上に両社の共通点が少なくないことに気づかされる。例えば、両社共、会社の設立当初から世界に向けて日本アニメを売る意図を持っていた点である。東映アニメは会社設立の理念が、そもそも日本から世界にアニメーションを発信をすることにあった。1960年代には既に『白蛇伝』といった作品を海外に販売している。
 GDHも設立より海外市場を意識していた。同社は内部に海外を良く知る外国人スタッフを抱えていたこともあり、必然的に最初から海外市場を視野に入れていた。
 さらに、海外販売において人脈を重要視する点も両社共通である。大山氏がマーケットに出て行くことの重要性を強調していたことが印象深かった。石川氏は情熱を持った人に出会い、自社の作品やブランドを宣伝してくれる人の重要性について語った。
 ビジネスモデルや歴史が異なる両社に共通する経験や考え方は、逆に言えば日本のアニメ企業が海外でビジネスを展開する際の一般的な要素とも言えるかもしれない。

kaigai.JPG 逆に両社の違いは作品の制作でみられた。大山氏は作品の制作にあたっては、特に海外市場を意識しない、日本の子供に受けるものは世界の子供に受けると強調していた。
 しかし、石川氏は例えば『SAMURAI7』が米国向きの作品、『巌窟王』がヨーロッパ向けの作品と区別するように、各国のニーズに合わせた制作意図を持っていることと対照的であった。
 これは、子供向けが主流の東映アニメと大人向け作品が中心のGDHの差とも言えるかも知れない。
 また、海外との契約については、東映ア二メが弁護士などの専門家は問題が起きたときに協力をお願いするのに対して、GDHが最初から専門家に入って貰うとした点が異なっていた。

 シンポジウムの最後は、日本のアニメはなぜ海外で強いのかという問いかけで締めくくられた。大山氏はコミック原作の強さ、キャラクター造形の強さ、作品制作における少ないセル画枚数が生み出した演出上の効果を挙げた。
 石川氏もやはり日本のマンガ原作の強さを挙げた。米国の年間の全コミック出版の生産が5千万部に対して、日本では毎週、週刊誌のみで数千万部発行されているなど、激しい競争が日本のマンガのレベルをあげ、それが日本アニメの強さの根源にあるというわけである。

 今回のシンポジウムは、海外での人気ある作品を多く抱える企業の中心で実際にビジネス関わっているかたの話だけに貴重な内容であった。

/東京コンテンツマーケット2005 シンポジウム
アニメ業界のトップに聞く!海外セールス裏事情
寺澤 幸裕氏(/オメルベニー&マイヤーズ法律事務所
大山 秀徳氏(/東映アニメーション株式会社 常務取締役)
石川 真一郎氏(/株式会社GDH 代表取締役社長)
《animeanime》
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