しかし、2009年のエキビジョンホールは、アニメDVD販売会社、マンガ出版社の不参加が目立った。一方で、DVD、マンガ出版とは異なる企業出展もあり、全体の雰囲気はこれまでと違った様相となった。北米アニメビジネスの新たな展開を感じさせるものだ。
エキビジョンホールの中で勢いがあったのは、入り口正面に大型ブースを設置したクランチロール(Crunchyroll)である。
クランチロールは、アニメ番組を中心にインターネットで無料・有料双方の動画配信を行うベンチャー企業である。アニメ動画配信サイトがエキビジョンホールの一番目立つ場所に来たことは、現在の米国アニメ業界の状況を象徴するものである。

クランチロールのブースでは、サイトの紹介や有料会員への勧誘などを行っていた。さらにミニステージを設け、開催期間を通じてミニイベントを行っていた。プレゼント企画や参加者に「クランチロール!クランチロール!」のシュプレヒコールをあげさせるなど派手な演出が目立った。ファンとの交流を深め、企業ブランドの好感度を引き上げる狙いがあるようだ。
また、目を惹いたのは、日本の商品企画・販売会社オーガニックが共同出展し、同じブースでキャラクター商品を販売していたことだ。クランチロールが現在、自身のサイトに物販、ショッピング機能がないことを考えると興味深いものである。
そのクランチロールの隣に対抗するかのように設置されたのは、アニメDVD販売シェア1位のファニメーション(FUNimation Entertainment)である。こちらは大手ライセンシーとして、人気作品を中心に推すかたちである。
正面の看板には、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』や『桜蘭高校ホスト部』、そしてこの夏以降展開する『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』にも力を入れる。『桜蘭高校ホスト部』はDVDの売り上げも好調とされており、会場でもコスプレをしたファンをよく見かけた。日本より米国でヒットが大きい作品になりそうだ。

ブースの規模やイベントは、例年よりやや地味めとなっていたが、アニメDVD流通会社が軒並み出展を見送る中で孤軍奮闘という印象である。
同社はこのほか期間中複数のパネルを持ち、アニメエキスポのメインスポンサーであるから、まさに業界を代表する会社であった。
ファニメーション(FUNimation Entertainment) /http://www.funimation.com/
クランチロール(Crunchyroll) /http://www.crunchyroll.com/
アニメエキスポ(Anime Expo)2009 公式サイト
/http://www.anime-expo.org/jp/

