アニメエキスポにおいて一般参加者側の主役といえばやはりコスプレということになる。新旧とりまぜて、そしてアメリカ独特の人気キャラが勢揃いしている様は圧巻だ。 このような大規模イベントというと、日本ではコミケが連想されるが、コスプレイヤーと同人作家の比率で言うと、ちょうど日本と逆転している感覚だ。 同人誌と言っても、日本でよく目にするポルノグラフィというものは(会場のゾーニングもあってか)少ない。冊子の形態もオフセットのものは少なく、コピー誌が多い。これは少部数で印刷をしてくれる、日本のような小さな印刷所がないことや、同人誌専門ショップなどの販路がほとんどないというインフラ的な問題を考えておく必要がある。 また、会場がアニメファン向けで、日本ほどマンガファンとアニメファンが融合していないという状況は割り引いて考える必要もあるだろう。 だからといって、絵を描くファン活動というものが無いと考えるのは早計だ。彼ら彼女らの多くはファンアートという形で表現をする。いわゆる、版権キャラの一枚絵だ。 絵柄は日本のアニメキャラを真似ているため、描線のテイストは似通っているのだが、色付けしたり、オリジナルの装飾をするとそれぞれのお国柄が出て面白い。特に、韓国系の作家は、自国で親しんでいるCGキャラの装飾と色遣いがイラストに現れている。 中には、日本の同人作家のように色紙に描いたり、その場でリクエストに応じてイラストを仕上げる光景も見られる。スケッチブックを描いている作家もいた。 エキシビジョンブースの中には、これらカラーイラストを描く際には、皆が必ず持っているコピックのブースが大きく構えていた。 コピックは全部で750色以上と様々なペン先を持つカラーマーカーのシリーズで、利便性が高いことから、CGがこれだけ流行している現在でも、同人誌の表紙やカラーイラストはコピックを使って彩色する作家も多い。 コピックのブースで取りそろえていたマーカーの数は、日本のコミケで出展しているものと、ほぼ大差ない。つまり、それだけファンアートを含めたカラーイラストの規模の拡大を予測しているのだろう。事実、ワークショップのブースでは2時間にわたって彩色の講座を開催し、多くの人を集めていた。 アニメファン的な文化同様に、同人誌文化がそのままアメリカで展開するかは、インフラ的な課題もあり見通すのは難しいが、カラーイラストについては、一定の歴史を持つファンアートの文脈からも技法的な流入があるかもしれない。 日本の同人文化の発展を担ってきたものの一つは、『ふぁんろ~ど』などの投稿雑誌である。これらへの投稿とスカウティングは、日本の中でも都会でない地域の人でも大きくチャンスを掴んだ。広いアメリカだから、頻繁に即売会が開けるとも限らない。 作家へのインセンティブとしては、アナログの道具にはアナログメディアの活用ということで、投稿雑誌という土台作りも面白いかもしれない。Newtype英語版は、今年で5周年を迎え、現在も好調である。アメリカにおける手描きのファン活動はまだまだ大きく発展が見込めるだろう。【日詰明嘉】アニメエキスポ公式サイト /http://www.anime-expo.org/コピックホームページ(日本語) /http://www.too.com/copic/
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