マッドハウス丸山正雄氏 インドで日本アニメの強さを語る | アニメ!アニメ!

マッドハウス丸山正雄氏 インドで日本アニメの強さを語る

会議では、期間中3つのアニメーション産業をテーマにしたシンポジウムが設けられた。このうち初日に開催された「The Animation Industry:Evolving Markets Worldwide」の基調講演を、日本のアニメスタジオ マッドハウスの創設者で丸山正雄氏が務めた。その個性で

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 インド最大のメディア・エンタテイメント分野のビジネス会議「FICCI FREAMAS」が、3月16日から18日までムンバイで開かれている。「FICCI FREAMAS」はインドで最も古い経済団体FICCIが主催をし、ムンバイを中心に世界的に注目されるインドのメディア産業、エンタテイメント産業のビジネス交流と振興を目指すものだ。
 会議の目玉は、世界トップクラスの業界関係者が一堂に介して、基調講演やシンポジウム、トークなどを行うことである。業界関係者は、インドのほか米国やヨーロッパ各国、東南アジア、中東、大洋州、アフリカにまで及ぶ。

 また、今回のFICCIは、特に映画の3DやHDテレビなどのテクノロジーの発展に目が向けられている。同時に、インドのアニメーション産業も大きなテーマとなった。既に欧米各国からの制作受託で成功し、さらに市場の拡大が見込まれるからことから業界を超えてアニメーションに関心が集まる。
 会議では、期間中3つのアニメーション産業をテーマにしたシンポジウムが設けられた。このうち初日に開催された「The Animation Industry:Evolving Markets Worldwide」の基調講演を、日本のアニメスタジオ マッドハウスの創設者である丸山正雄氏が務めた。その個性で世界で独特の存在感を見せる日本アニメのトップ スタジオからの参加だけに大きな注目を浴びた。

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 丸山氏がテーマにしたのは、「日本のアニメの強さ」である。丸山氏はアニメが国内でDVD市場、映画市場のかなり部分を占めエンタテイメントの主要産業となっているとし国内での日本の強さ、そして海外で受け入れられている国外に向けての強さについて語った。
 そのうえで日本のアニメの転換ポイントになったのはテレビシリーズ『鉄腕アトム』とする。その際にアニメーション制作がこれまでの24コマのフルアニメーションから、3コマアニメーションに移行したことでドラステックに制作やビジネスが変わった。これがアニメの絵の動きをハードにし、独特の表現につながった。

 シンポジウムの出席者は、このほか地元インドのCrest AnimationのCEO A K Madhavan氏、ドリームワークスの海外部門統括のShelly Page氏、オランダのアニメーション製作会社Kids Planetの設立者 Erica Reijmerk氏、そしてカートゥーンネットワーク 東南アジアのディレクター Krishna Desai氏である。
 多国籍な参加者ということもあり、議論は世界各国様々な話題に拡散した。国境を越えたコラボレーションでは、Reijmerk氏が「世界のアニメーション放送局は増加している。その中で共同製作のチャンスも拡大している」とビジネスチャンスの大きさに言及する。
 また、Page氏も「才能が豊かであれば、制作地域、クリエイターの国籍は構わない。豊かな才能が多いインドは、多くのポテンシャルを持っている」と指摘する。

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 「インドのアニメーション産業は果たしてどのくらい成長するのか?」との問いに丸山氏は、日本の『鉄腕アトム』ような変化のきっかけになるようなビッグヒットが出た時にインドのアニメーション産業は急成長するだろうと答えた。
 トークの中心は、制作コストや資金調達などにも及んだ。この中で会場から、「インド政府はアニメーション産業支援にもっと力を入れるべき。現状は十分でない」と発言があり、登壇者と激論になった。
 これに丸山氏が意見を求め、「日本のアニメは過去40年以上政府の支援のないなか育って来ました。最近では韓国政府が、日本に追いつき追い越せと自国のアニメーションを支援しています。これで日本が40年かかったことを20年で成し遂げるかもしれません。それは羨ましくも思います。でも、日本のアニメがここまで伸びたのは、現場のスタッフとスタジオの力です。私はそうあるべきだと思っています」と発言した。
 これに対して会場から大きな拍手が沸き、アニメーション産業の基盤が制作現場の力であることは、世界共通であることを感じさせた。

FICCI FREAMAS /http://www.ficci-frames.com/frames2010/frames.html

「The Animation Industry:Evolving Markets Worldwide」

3月16日 
インド・ムンバイ市 Hoetl RENEASSANCE, MUMUBAI
17時―18時半

「モデレーター」
A K Madhavan, CEO, Crest Animation Studios Ltd.

「基調講演」
丸山正雄 マッドハウス創設者、 プロデューサー

「パネル」
Shelley Page, Head of International Outreach, DreamWorks
Erica Reijmerink , CCO & CO-Founder, KidsPlant BV, The Netherlands
Krishna Desai, Director, Programming, South Asia, Turner International Ltd.
《animeanime》
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