聖地巡礼ブームに代表されるアニメやマンガによるコンテンツツーリズムが注目されている。アニメやマンガに取り上げられることで、地域にこれまで考えられなかったほど多くの人が集まり、活性化するケースが増えているからだ。 こうしたケースが増える中で、地域が自らアニメ・マンガによる地域起こしをしかける例も増えている。一方で、そうした現象は偶発的に起きたものとして、コントロールは難しいとの考えもある。 4月18日に東京法令出版より発売される「アニメ・マンガで地域振興」は、そうした疑問に応えるものになりそうだ。本書は「まちのファンを生むコンテンツツーリズム開発法」とサブタイトルにつけ、コンテンツによる地域振興の調査・研究を続ける北海道大学山村高淑准教授が、その意味、仕組み、そして具体的な企画から可能性までを論じたものだ。 近年、コンテンツを利用した地域振興で大きな成功を見せたケースを例にとり、コンテンツツーリズムのさらなる可能性を説明する。アニメ・マンガによる地域振興の実態を知るだけでなく、地域開発の担当者、作品を作る側に向けた実用書として書かれている。 本書のなかで特に深く切り込まれているのは、「埼玉県旧鷲宮町と『らき☆すた』」、「宮城県と『戦国BASARA』」、「長野県上田市と『サマーウォーズ』他」などである。これらの例を取り上げながら、ファン動向、制作者との連携、グッズ・イベントの開発を説明する。さらに、作品ファンをいかにまちのファンに結びつけるかを語る。 また、鷲宮や上田市の商工会、アニメ制作のプロダクション I.G、さらにファンや専門家のインタビューも交え深く切り込む。税込定価2400円、全体で250ページ近くにも及ぶ本書はかなり読み応えがあるだろう。『アニメ・マンガで地域振興 ~まちのファンを生むコンテンツツーリズム開発法~』著: 山村高淑 (北海道大学観光学高等研究センター)定価2400円 A5版 248ページ東京法令出版
“遊郭”ってどんなところ? アニメの舞台にもなる“吉原”“遊女”などの実態を解説した書籍「江戸の色町」が重版 2021.12.3 Fri 11:15 『鬼滅の刃』『さくらん』『江戸モアゼル』をはじめ様々なマン…