1963年に放映を開始したテレビアニメ『鉄腕アトム』以来、アニメ世代は年々増加、その上限は40代から50代、さらには60代にまで突入する勢いだ。そうしたなかで、これまでありそうでなかったシニア世代とファミリーをターゲットにしたアニメが2011年に登場する。 アニメ製作のワオワールドとコンテンツビジネス開発のシンクが企画・プロデュースする 『昭和物語』である。60歳以上のシニア層・団塊世代に狙いを定めて、2011年に1月に劇場公開、そして4月よりテレビ放送を開始する。 戦後日本のアニメは多様な展開を遂げ、未就学児から、児童、ティーン、ヤングアダルトまで様々な世代に向けた作品が製作されている。なかには視聴者の中心が30代、40代というものも少なくない。しかし、『昭和物語』はさらにその上の世代、しかもそこにフォーカスすることを宣言した初のアニメだ。 番組の舞台もこの世代が懐かしいと感じる昭和39年に置かれる。東京大田区蒲田で町工場を営む山崎家の心温まる人間ドラマを中心に、東京オリンピック、東海道新幹線開通、羽田空港国際線滑走路完成など、高度成長期の東京を描きだす。 さらに番組中では、「スーダラ節」や「東京五輪音頭」、「あゝ上野駅」、「恋のバカンス」といった懐かしの歌謡曲が使われる。視聴者の郷愁を誘うものとなる。また、制作にあたっては、映像のカット割りやセリフなどに60歳以上のシニア層が見やすいようにゆっくりと分かりやすい演出手法を採用した。マニア向けアニメ作品とは異なる方法を導入しているという。 作品を企画するシンクは、本作が近年停滞する国内アニメーション業界、そして少子高齢化市場への挑戦であり、新たな市場開拓を目指したものだとしている。制作期間は4年半、劇場版監督に村上匡宏さん、テレビ版監督に釘宮洋さん、東郷光宏さんを起用した。 アニメ制作を担当するワオワールドは、第10回SICAFソウル 国際アニメーション映画祭 長編映画部門グランプリ受賞した『NITABOH~津軽三味線始祖外聞』や『ふるさとJAPAN』、『8月のシンフォニー』といった丁寧な映像作品を得意とする。 他のビジネス面でも『昭和物語』は、野心的な取り組みが見られる。制作は劇場映画とテレビシリーズを同時に進めている。まず、今年の年末年始にテレビシリーズのスペシャル放送でスタート、続いて2011年1月29日より全国ワーナー・マイカルシネマズにて長さ100分の劇場総集編を公開する。さらに2011年4月より30分シリーズ全13話を本放送する。 テレビ放映はtvk(神奈川)、テレ玉(埼玉)、チバテレ(千葉)、三重テレビ、KBS京都、サンテレビ(兵庫)の6局をネットワーク化したネット6で行う。ネット6は関東、東海、近畿の独立UHF放送局によって組織された共同制作機構だ。6局だけで都市を中心に全国の約50%以上の世帯をカバーする放送ネットワークである。近年では、数多くのアニメを放映しているが、『昭和物語』では製作参加もする。劇場アニメへの本格的な参加は今回が初めてで、新しいアニメビジネスの枠組みという点では、こちらも要注目だ。『昭和物語』 公式サイト /http://www.showa-movie.jp/企画プロデュース: ワオワールド、シンク制作: ワオワールド放送: ネット6 (tvk、テレ玉、チバテレ、三重テレビ、KBS京都、サンテレビ)2010年年末年始スペシャル放送、2011年4月~本放送2011年1月29日より全国ワーナー・マイカルシネマズにて公開[スタッフ]シナリオ: 平野靖士、富田祐弘、荒川稔久、丸尾みほ劇場版監督: 村上匡宏、テレビ版監督: 釘宮洋、東郷光宏プロデューサー: 竹内宏彰キャラクターデザイン/作画監督: 柳野龍男監修: 菅野哲夫音響監督: 本田保則[キャスト] 松本保典/福圓美里/高木渉/塚田正昭/吉野裕行/京田尚子/玉川砂記子/青木誠/千葉翔也ワオワールド /http://www.waoworld.com/シンク /http://www.think.ne.jp
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