11月30日、米国の映画芸術科学アカデミーは、第83回アカデミー賞の短編アニメーション部門(animated short films)のノミネート対象10作品を発表した。選ばれた作品は、米国とヨーロッパの芸術性に重点が置かれている作品が中心となっている。アジア地域からの作品は、日本を含めて選ばれなかった。 選考作品のなかでは、ワーナ・ブラザース・アニメーションとピクサー・アニメーション・スタジオというメジャーなスタジオからそれぞれ1作品が選ばれているのが目を惹く。ピクサーからは2Dと3Dを組み合わせたテディ・ニュートン監督による『Day & Night』である。一方ワーナの『Coyote Falls』はマシュー・オキャラハン監督の作品だ。エグゼクティブ・プロデューサーのサム・レジスター氏は『ベン10』や『ハイハイ パフィ アミユミ』、『トランスフォーマー アニメイテッド』で活躍したプロデューサーである。短編アニメーション部門では異色の存在だ。
注目される作品は今年のフランス・アヌシー国際アニメーションフェスティバル短編部門のグランプリ・クリスタル賞を受賞した『The Lost Thing』だろう。同作はオーストラリアとイギリス合作映画で、アンドリュー・ルヘマン氏とショーン・タン氏が共同監督する。 もともとアヌシーでの受賞作は、米国アカデミー賞短編アニメーション部門の選考対象に組み込まれるようになっている。このため日本の加藤久仁生氏の『つみきのいえ』のように、アヌシーのグランプリからそのままアカデミー賞ノミネート、受賞につながるケースも少なくない。今回も『The Lost Thing』は受賞の有力候補と言って間違いないだろう。 このほか『The Cow Who Wanted to Be a Hamburger』や『Let’s Pollute』、『Madagascar, Carnet de Voyage』もアヌシーでの上映作品だ。米国アカデミー賞は短編アニメーション部門については長編部門と異なり、国内公開作品のほかに指定する海外映画祭などの作品の選考対象とする。このため長編アニメーションと違い海外作品がノミネートに入るチャンスは大きい。しかし、多くの映画祭は欧米にあるため、今回の様な欧米中心の選考リストになりがちだ。