
配給を手掛けるウォルト・ディズニーは、公開都市としてニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、ホノルルの5つを挙げている。都市部の劇場数館に絞った限定公開となるようだ。
日本で大ヒットとなった『ゲド戦記』の米国公開が大きく遅れたのは、米国では同じアーシュラ・K・ル・グウィンさんの原作から実写版テレビ映画『ゲド戦記』が制作されており、北米での作品上映権の調整が必要となったためとされている。日本公開から4年後の公開になったことで、小規模にとどまったようだ。
また、アニメーション映画としては珍しく、作品には13歳以下の子どもは保護者の指導が必要となるPG13が指定された。ジブリ作品では『もののけ姫』以来のPG13で、こうしたことも拡大上映を慎重にさせたとみられる。
それでも公開4年後になっても劇場公開にこだわったのは、スタジオジブリブランドの大きさと言えるだろう。実は海外で人気とされるスタジオジブリ作品の北米劇場興行は、ハリウッド大作アニメーション映画ほど大きくない。しかし、ウォルト・ディズニーが発売するDVD、Blu-ray Discの売上げは、劇場興行に較べて大きくなる傾向が強い。コンシューマーに対してプロモーション効果の高い劇場公開をすることで、映像パッケージの販売に結びつける狙いがあると見られる。
実際に『ゲド戦記』には、これまでのジブリ作品と同様に英語吹替え版の声優には、実力派の俳優を配した。ゲド(ハイタカ)役には007シリーズで知られたティモシー・ダルトンさん、魔法使いクモには悪役として定評のあるウィレム・デフォーさん、ハレ役にはコメディ俳優のチーチ・マリンさんを起用する。またテナー役にはマリシュカ・ハーティさん、主人公はベテラン声優で、『スターウォーズ』シリーズのアニメーションでアナキン役演じるマット・レヴィンが決まっている。
ディズニーによるスタジオジブリ作品の英語版編集と吹き替えは定評があるだけに、今回の『ゲド戦記』にも期待したいところだ。また、近年日本アニメの劇場公開はますます減っているだけに、米国の映画界に日本アニメの存在を示すという点でも期待作品だ。