アカデミー賞アニメーション部門候補 多様性重視の作品リスト | アニメ!アニメ!

アカデミー賞アニメーション部門候補 多様性重視の作品リスト

2月2日、映画芸術科学アカデミー協会は、今年で82回目を迎える米国アカデミー賞の受賞作品を発表した。数ある米国の映画賞の中でも特に注目が高い賞だけに、ノミネートの段階から報道機関や映画会社の反応は熱気を帯びている。

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 2月2日、映画芸術科学アカデミー協会は、今年で82回目を迎える米国アカデミー賞の受賞作品を発表した。数ある米国の映画賞の中でも特に注目が高い賞だけに、ノミネートの段階から報道機関や映画会社の反応は熱気を帯びている。
 このうち長編アニメーション部門では、ノミネート対象20作品の中から『コララインとボタンの魔女』、『Fantastic Mr. Fox』、『プリンセスと魔法のキス』、『The Secret of Kells』、『カールじいさんと空飛ぶ家』の5本が勝ち抜いた。日本アニメからのノミネートが期待された宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』は、ノミネート入りを逃した。

 前評判の高かった『カールじいさんと空飛ぶ家』が選ばれたほか、これまで他の賞で強さを発揮している『コララインとボタンの魔女』、『Fantastic Mr. Fox』もリスト入りしている。また、ディズニーが久しぶりに手がける2D長編アニメーションとして話題を呼ぶ『プリンセスと魔法のキス』も含まれた。『カールじいさんと空飛ぶ家』と合わせてディズニーとピクサーで2作品が候補作となり、アニメーション帝国ディズニーの面目躍起となった。
 今回のノミネートでのサプライズは、『The Secret of Kells』だろう。フランス、ベルギー、アイルランドのヨーロッパ3カ国共同製作による2Dアニメーションで、ヨーロッパ各地の映画祭で高い評価を受けてきた。しかし、北米ではほとんど上映実績がなく、これまで知名度の低い作品のノミネートがほとんどない米国アカデミー賞では快挙と言っていい。

 『The Secret of Kells』は、今年の米国アカデミー賞長編アニメーション部門を象徴する存在とも言えそうだ。これまで同部門では、ハリウッドメジャーの大作CGアニメーション作品が並んで来た。昨年も劇場公開では、『アイスエイジ3』、『モンスターVSエイリアン』といったビッグムービーは数多い。しかし、実際には「泣ける」と話題を呼んだ『カールじいさん』だけが今回のノミネートに残った。
 派手な演出よりストーリーや個性がより重視されたのが、今年のアカデミー賞ではないだろうか。逆に言えば、CGアニメーションの映像の驚きは、少なくともアカデミー賞の場では既になくなっていると言える。

 長編アニメーション映画は、音楽部門でも活躍している。音楽賞(Music (Original Score))には、2作品がノミネート。『カールじいさんの空飛ぶ家』と『Fantastic Mr. Fox』である。さらに歌曲賞(Music (Original Song))では、『プリンセスと魔法のキス』から「Almost There」 、「Down in New Orleans 」の2曲が選ばれている。
 『カールじいさんの空飛ぶ家』は、このほか音響編集賞、脚本賞、さらにアニメーションとしては珍しい、作品賞でのノミネートもされている。作品賞のノミネートが今年から10作品に拡大された恩恵を受けたともいえるが、長編アニメーション部門の有力候補ならの高評価である。

 短編アニメーション賞部門の候補作品も発表されている。昨年日本でも劇場公開されたニック・パーク監督の『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』をはじめとし、『French Roast』(Fabrice O. Joubert)、『Granny O’Grimm’s Sleeping Beauty』 (Nicky Phelan and Darragh O’Connell)、『La Dama y la Muerte』(Javier Recio Gracia)、『Logorama』(Nicolas Schmerkin)を含めた5作品である。国際色豊かなラインナップだ。
 また、視覚効果賞候補作品は、3回に及ぶ予備選考を経て、3作品のみが選ばれている。話題の3D映画『アバター』、『第9地区』、『スタートレック』といった派手なSF映画並ぶ。
 本年の受賞作品、受賞者は例年よりやや遅い3月7日、ハリウッドのコダックシアターで行われる授賞式で発表される。

米国アカデミー賞 公式サイト /http://www.oscars.org/awards/

長編アニメーション部門(Animated Feature Film)候補作品
 『コララインとボタンの魔女 』 ヘンリー・セリック
 『Fantastic Mr. Fox』 ウェス・アンダーセン
 『プリンセスと魔法のキス』 ジョン・マスカー/ロン・クレメンツ
 『The Secret of Kells』 トム・ムーア
 『カールじいさんと空飛ぶ家』 ピート・ドクター

短編アニメーション賞(Short Film (Animated))候補作品
 『French Roast』 Fabrice O. Joubert
 『Granny O’Grimm’s Sleeping Beauty』 Nicky Phelan and Darragh O’Connell
 『The Lady and the Reaper (La Dama y la Muerte) 』 Javier Recio Gracia
 『Logorama』 Nicolas Schmerkin
 『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』 ニック・パーク

視覚効果賞(Visual Effects)候補作品
 『アバター』
 『第9地区』
 『スタートレック』
《animeanime》
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