アニメ作品を観る時に、視聴者の心に訴える要素は何だろうか。ひとつは演出や脚本から構成される物語である。もうひとつはキャラクターデザインやそれを動かす作画、あるいは背景といった映像の部分だ。 そして、忘れていけないのは、音楽や効果音、アフレコ(セリフ)といった音響面の重要性だ。音のないアニメは、余程特殊でもない限り、なかなか難しいだろう。 そのアニメの音を作り出した先駆者が、音響クリエイター大野松雄さんである。「ピョコッ、ピョコッ」という印象的なアトムの足音に代表されるように、日本アニメ黎明期にこれまでにないSFサウンドを作り出した。今年の東京国際アニメフェア2009では、こうした実績を顕彰して第5回功労賞も受賞している。 また、大野氏はアニメだけでなく、勅使河原宏監督の映画、舞踏家土方巽や大野一雄のための音響、つくばEXPO’85といった博覧会での空間音響システム・デザイナーなど様々なシーンで活躍する。常ならぬ音の追及者と言ってもいいだろう。 その大野松雄さんが、7月14日にライブパフォーマンスを行なう。このライブは、「アトムの音をつくった伝説の音響クリエイター 大野松雄~宇宙の音を創造した男」とタイトルしたものだ。 第25回東京夏音楽祭2009のプログラムのひとつで、今年のテーマ「日本声・日本の音」のとして大野松雄さんを取り上げる。3面スクリーンを利用した多元立体音響の躍動するコラボライヴ《a point》とアナログとデジタルのエレクトロニック・サウンドで「不思議」な空間を表現する《Yuragi ♯8》を大野松雄さんのライヴ・エレクトロニクスで行なう。 実は今回は、今年78歳となる大野松雄さんの初のライブパフォーマンスでもある。まさに必見と言っていいだろう。 また、音響だけでなく、一緒に上映される映画のプログラムも見逃せない。大野松雄さんが音響を手掛け映画4本が紹介されるが、2本が短編アニメーションとなっている。1964年製作の『潜水艦カシオペア』と1966年製作の『追跡』である。 いずれの作品も、製作をイラストレーターの真鍋博さんが行なった幻の作品である。真鍋博さんは、夢のある未来世界を描くSFイラストレーションで描くことで知られた。原作は『潜水艦カシオペア』が都筑道夫さん、『追跡』が星新一さんとSF小説の大家によるものだ。『鉄腕アトム』の音響デザインを行なった大野松雄さんらしい作品が期待出来るだろう。 チケットは全席自由で4000円、東京・青山の草月ホールで、7月14日19時開演だ。アリオンチケットセンターのほか、チケットぴあ、イープラス、ローソンチケットで購入出来る。アトムの音をつくった伝説の音響クリエイター大野松雄~宇宙の音を創造した男日時: 7月14日(火)19時 18時半開場会場: 草月ホールチケット: 全席自由4000円【プログラム】[上映 大野松雄の電子音響による短編映画傑作選]■ 科学映画『血液-止血とそのしくみ』(1962年/カラー/26分) 監督:杉山正美、二口信一 デザイン:粟津潔 解説:川久保潔 制作:桜映画社■ アート・アニメーション『潜水艦カシオペア』(1964年/カラー/6分) 製作:真鍋博 原作:都筑道夫■ アート・アニメーション『追跡』(1966年/カラー/3分) 製作:真鍋博 原作:星新一■ ドキュメンタリー『土くれ―木内克の芸術―』(1972年/カラー/17分) 脚本・監督:松川八洲雄 プロデューサー・撮影:楠田浩之・喜屋武隆一郎 音楽:木下忠司 制作:隆映社ライヴ 《a point》 《Yuragi ♯8》 大野松雄(ライヴ・エレクトロニクス) 由良泰人(映像) 金森祥之(音響デザイン) 遠藤正章(オペレーター)チケットの詳細は下記情報ページで確認ください。/http://www.arion-edo.org/tsf/2009/program/m03/?lang=ja
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